帝王 416 ページ16
真っ赤に染っていた葉は地面に埋もり、
関西地方にも東北からの寒さが吹雪いてきた。
約1ヶ月前、史上初・全中に続いて国体も栄冠を手にした鬼学。
その強豪の体育館には沢山の中学生が集まっていた。
それは今日まで鬼学主催の野狐中、他4校が集まっての合同合宿だったからで、今は皆が協力して片付けをしている最中である。
参加していた治も、率先してコートの支柱を片付けていた。
侑「っふざけんのも大概にせぇ!!」
『…ふざけてねぇよ』
治「ツム?A?」
突如耳に届いた、片割れの悲痛な叫び声と感情の起伏を感じさせない冷たい声。
「なんだなんだ?」
「おい、宮と帝人が喧嘩してんぞ」
「マジかよ、双子じゃなくて?」
「てか宮すげぇな…あの帝王に真っ向から行ってるぞ」
周りもその騒ぎの中心人物たちを見ていて、治は急いで彼らの方へ向かう。
珍しい、あの二人が喧嘩なんて、おい誰か止めろよ
ヒソヒソと影で話す周りは、二人が今にも殴り合いに発展しそうでもまるで投げやりで、止めるつもりは毛頭ない様だ。
治「(…まぁ、確かに俺も、一度もあの二人が言い争ってるとこは見たことないな)」
バレーボールを愛し、それに対する努力は怠らない似た者同士の彼ら。
それ故、意気投合する方が多い二人は所謂 類友 で、こうしたあからさまな衝突は見た事がない。
まぁ大丈夫か…と思ったのもつかの間、侑がAの胸ぐらを掴み出し自身に強く引き寄せた。
侑「……もういっぺん言ってみィ」
治「っやめろや侑!」
侑「黙ってろ治、…これは俺らの問題や」
治「っ、」
目はAから1ミリも動かさず、近寄ろうとした片割れを低く唸って制する侑。
「俺らの問題」
治は初めて、二人から言葉の線を引かれたような気がした。
自分とは違う何かがあるなと感じたのは、そう、1ヶ月前の国体の決勝前。
チームに帰ってきた片割れが異様に張り切っていた。
今思えばそこからだったのだろう。
Aというかけがえのない人と出逢った日は同じだったが、いつの間にか2人と自分の間には深い溝が生じていた。
そしてその深い溝は、今兄弟の言葉によって具現化されてしまった。
治「…だか、…んや」
侑「あ゛ぁ?」
治「だからなんやこんのクソダボがぁッ!!」
険悪ムードを侑を蹴飛ばしてぶち壊した治。
見ていたものは目を丸くする。
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青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» すぐに訂正させて頂きました!今後とも宜しくお願い致します!! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - SALAさん» ご指摘ありがとうございます!そこの所自分わからなくて調べたんですけど如何せん頭が悪くて…( ´;ω;` )嬉しいです!これで安心できる〜!(笑) 本当にありがとうございます!これからも宜しくお願い致します!!(これからも間違えていたらお願い致します<(_ _)>) (2020年8月9日 20時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - 訂正失礼いたしました! (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
SALA(プロフ) - この作品大好きなので頑張って下さい!…失礼ながら訂正させていただきますが414話の「通称インターハイ」は正しくは「全中」でございます。ちなみに言いますと、高校の全国大会をインターハイ(インハイ)、大学の全国大会をインターカレッジ(インカレ)と言います。 (2020年8月9日 20時) (レス) id: 74892cdce0 (このIDを非表示/違反報告)
青めがね エレン(プロフ) - yukaさん» 嬉しすぎてハゲましたよ?一番面白いとか…あ、とりあえず昇天しますね!←これからも面白いって思えて貰えるよう頑張ります!宜しくお願いします!! (2020年7月31日 2時) (レス) id: 1d378f5d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青めがね エレン | 作成日時:2020年5月4日 1時