コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 218 ページ34

「(ピーーッ)」





澤村「行くぞァ！！」


烏野「「おう！！／はい！！」」








第2セット開始






選手は1セット目から変えていない

その為、黒髪の美青年の姿もコートに存在する








一繋「…続けて出すか」

大野屋「？帝人くんの事ですかい？」

一繋「あぁ」







チームメイトとサインの確認をしているA

その姿を上から見下ろしていた一繋は目を細めた


高校入学したての頃から彼のことを見てきたからわかる






一繋「ありゃ繋心の使い方がもったいねぇな」







元々注目選手のA

それがサウスポーに転任し、今日が初お披露目なのだ


他校は警戒し偵察に来ている


実際、白鳥沢と青葉城西の偵察班はこの1次予選からチェックしにいる








大野屋「でも2mが相手だし、絶対に勝てるって保証がなきゃ帝人君のことも引っ込められねぇでしょう！」

一繋「まぁそれも一理あるな」




…が、




一繋「どのタイミングで選手を入れ替えるか、それを見極める力がなけりゃ上には上がっていけねぇ」









今は風呂の水をずっと流しっぱなしの状態


溢れても無抵抗のまま、新しい武器をライバルたちに見せてやっているのだ





「高さやパワー等の“シンプル”で純粋な力というのは、一定のレベルを越えると途端に常人を寄せ付けないモノなる」






一繋「帝人 Aという男はそれに当てはまる」





だからもったいねぇのさ、


そう言った一繋は腕組みをして自分の孫に視線を向けた







大野屋「確かに“ウシワカ”も初戦は出てないらしいし、2回戦目も1セットだけ出たって聞いたな〜」

一繋「それが温存、だな」








まぁそれは数多くある戦略の一つに過ぎない


一繋の「温存」という考え方もあれば、孫の繋心のように「調整」で続けて出す戦い方もある



強さが多彩なように戦い方も多彩



指導者それぞれの「色」があり、その色がぶつかりあった果てに勝敗がある







一繋「ははは！“猛獣”をどう使うか、お手並み拝見よ」







それをどう扱う、どう捌く

言う事を聞かせられなきゃこちらが喰われる



綺麗な見た目とは想像もつかない、その獰猛で気性の荒い“バケモノ”







一繋「精々、噛み付かれなきゃいいけどな」







そう言って笑った一繋の頬は畏怖に引き攣っていた。

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