コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 216 ページ32

烏野：角川
２４：２２






2mに苦戦を強いられてきたが、奴の弱点がわかると少しずつ攻略していった烏野



百沢はバレー初心者

だからこそ、ストレートとクロスの打ち分けはまだ出来なく体の向きそのままに打ってくるのだ



これが分かれば対策を立てる事はできる








影山「田中さん！(フワッ」

田中「だっしゃい！(ドドっ」

南田「ぐ、っ(ボッ」







田中のスパイクは南田がレシーブ

乱れたものの、高いボール1つあれば得点に繋げる事ができる百沢の攻撃


ふわりと古牧がトスをあげた







古牧「ラスト百沢！」

月島「(…クロスか)」






スパイクゾーンに入ってきた身体はクロスの向き

ならばブロックで締めるのはストレート







百沢「く…！(ガンッ」


澤村「ふッ(ドパッ」

田中「大地さんナイスレシーブ！」


影山「Aさん！」








“こちら側(ストレート)に打てば叩き落とす”







月島の圧に押し負けた百沢は予想通りクロスへ打ち、正面にいた澤村が完璧にレシーブした

セッターの頭上にAパスで返ってくるボール



それは2mをも凌駕する怪物へと最後に託される







百沢「(きた…ッ)」

『(キュ、キュッ)』







その紅の瞳はまるで地獄の業火のよう


決して燃え尽きることはない永遠の輝き

その美しさにふらりと近寄れば身も心も全て焦がされる









『っふ！(ガンッ』


百沢「くっ、(バヂッ」











ブロックに飛んだ百沢の腕を吹き飛ばす左手


またもや彼から得点を奪った彼と目線が絡まった




あぁ、強い

自分なんかが太刀打ちできる筈がない




今のスパイクだって、これまでの対戦相手だったらブロックで止められていた

なのに彼は正面だとしても強打でぶち抜いてくる



確かな実力と強いメンタルが無いとなし得ない。







『っし！』






スパイクが決まった事を見届けると、グッとガッツポーズをし振り返るA





烏野：角川
２５：２２





第1セットを取ったのは烏野だった。







百沢「〜ッ」

古牧「平気ですか百沢」

百沢「っはい、」






チームメイトと「よく打った！」「ナイス！」と笑い合っている“０番”を背負う彼






百沢「すいません」

古牧「？」

百沢「やっぱり、バレーボールって難しいです」





その背中はこの競技がいかに“単純”でないかを教えてくれた


2mの彼は、仲間に微笑む美青年の横顔を見て悔しそうに、しかしとても楽しそうに口角を上げた。

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