コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 214 ページ30

『ふっ！(ドガッ』

浅虫「ぅぐ、！(バヂィッ」








角川の3枚ブロックを簡単に打ち砕く「左」の大砲

壁を崩したそれは角川高校のコートに叩き付けられた




ワンバンし高く、高く重力に逆らっていくボール





誰かがふと呟いた








「、帰ってきた…」








中学三年生という最も注目を浴びていた時期に、忽然と姿を消した“平成の怪物”


彼は眠れる獅子となり、静かに爪を研ぎ続けていた




そして再び舞い戻ってきた彼は新しい武器を手にしていて








観客1「うぉおおお！3枚ブロックを諸共しないスパイク！」

観客2「威力、右手ん時よりもあがってないか！？」

観客3「ウシワカよりはちょい威力ないけど、その分打ち分けクソ上手いな」









黒髪のバケモノの“たった1本”のスパイクに揺れる会場


彼らが目にしたのはその“たった1本”があまりにも高校生離れしていたから






前よりも格段に爆発力があがった左の剛腕

それは今、確実に3枚ブロックの「穴」に当てていた


一瞬の判断とそれを上手く捌く身体の使い方のセンス





あの頃の少年から遥かに成長した美しい青年








取材1「…鬼を再び目覚めさせたのはカラス、か」







初戦の後、彼に取材をしていた男は黒のチームを見つめる


落ちた強豪などと蔑まわれ不名誉を与えられたチーム

それが今やダークホースと言われ、【帝王】と共に少しずつ高みへと昇り詰めている


デコボコでちょっと変で、何よりも仲間を大切にするチーム







取材1「だからだろうな」






中学1年生から追ってきたその背中は実に楽しそう


きっとこの先も追うであろう「0」にピントを合わせ、あの日から大きく成長した彼を写真に収めた。














・












「オーライ！」

「ナイスカバー！」






やはり VS 2mはしんどい

普通ならブロックの上を超えるフェイントも百沢には届く




私生活でそんな大きさとは出くわさないし戦う事も無いので、そう簡単にこの“高さ”には慣れない


身長という「武器」はどんな才能よりも恵まれてる






一繋「…高さとかパワーとか“シンプル”で純粋な力っつうのは一定のレベルを越えちまうと、途端に常人を寄せ付けないモンになる」







高校男子は身体も出来上がっていないしプレー自体未完成だ

だからこそ1人の大エースとか、1人の超デカい奴が居ることが勝敗を分けることだってある







一繋「…少なくとも、それが通じる相手ならばな」

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