コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 212 ページ28

「(ピーーッ)」


全員「「お願いシャース！！」」






甲高い笛の音が体育館に響き渡る



「烏野高校 対 角川高校」



本戦への出場をかけて試合が始まった








他校1「出てきたぞ“帝王”！」

他校2「うわ…やっぱ1人だけ別のオーラあるな」

他校3「流石JAPAN」





観客席には本物の「帝人 A」を見に来た者でいっぱい


烏野を応援する谷地や小学生の周りは他校の生徒が囲んでいて、その中にはカメラ片手にエールを送る女子の姿も見受けられた


どれ程の者達が彼の登場に湧いているのか、一目でわかる







谷地「やっぱり凄いな、帝人先輩って…」






実力は勿論のこと、人を惹きつける魅力だったりカリスマ性だったり、自分には無いものを沢山持っている1個上の先輩



もしバレー部のマネージャーにならなかったら一生話す事はなかったと思う


住む世界が、次元が、私とは全く違う御方







小学生1「やっちーあのイケメンのお兄ちゃん知ってるの？ほら０番の！」

谷地「えっあ、うん！マネージャーだからね！」

小学生2「僕たちもA兄ちゃんの事知ってるよ〜」

谷地「っ、そうなの？」







すると一緒に応援していた小学生たちが話しかけてきた


どうやらずっと視線を送っていた黒髪の彼のことを知っているようで内心ドキッとする







小学生2「いつも烏養先生の所に練習しに来てるの！
それで練習終わったら遊んでくれたり、バレーも教えてくれたりするんだよっ」

谷地「へぇ〜」

小学生1「A兄ちゃんは優しくて強くてカッコイイ！僕の好きな仮面ライダーみたいなんだ！」

谷地「そうだね！」







何だか自分の知らない彼をさらに深く知れて心がホッコリとした

エピソードも勿論だが、冷たい第一印象のAが実は面倒みが良くて小学生に好かれているなんてギャップがある



ふと、その本人の方を向くと丁度こちら側に気付いた







小学生「「瑠美兄ちゃぁーん！！」」

谷地「ふふっ」







純粋無垢な小学生たちは、自分たちのヒーローが気づいてくれたことに大喜びで手を振っている

それに彼も柔らかく笑って振り返しているので凄く心温まる光景だ



何となく便乗して、谷地も小さく手を振ってみる







谷地「！///」

『(ヒラヒラ)』






するとすぐに気付いて谷地にも手を振り返すA


早かった心音は更に加速し、甘酸っぱい恋心が胸の中で溶けだす



頑張ってください



この小さな思いが届くよう願った。

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