コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 207 ページ23

大事な初戦


何事も最初が肝心だ





烏野 VS 扇南





結論から言うと危なげなく駒を進められた




1セット：25-16

2セット：25-13




試合の流れも此方が掴んでいて、ハラハラした試合展開ではなく比較的安心して見ていられたと思う


内容もいつもと大して変わらない


黒のチーム最大火力の投下は温存の為1セット目は控え、その代わりに同期の田中とエースの東峰が活躍した






澤村「次の試合まで時間あるけど体冷やすなよ〜」


烏野「「うぇーす/はい！」」





陣地に戻ってきた連中


試合後で汗をかいたので、その発汗により身体を冷やして筋肉が硬くなってしまえば元も子もない

澤村に促された数人はジャージを着用した



寒暖地の宮城は既に冬寄り

何か上着1枚着ておかないと風邪になりそうな季節



そしてここで着ない者は能天気＋元気組な訳で






『…見てるだけで寒い』

西谷「そうか？」

田中「俺はまもなく着まーす」





初戦、2セット目の後半のみ試合に出たA


なので身体は少し温まったが、田中・西谷のように半袖でいれるほどではない







武田「Aくんいますか？」

『？はい』






すると戻ってきた武田に名を呼ばれる


壁に寄りかかり座っていたAは立ち上がった







武田「先程、君の取材をしたいとメディアの方がいらして、ホールの所で待ってくれています！」

田中「うっわまたかよA！」

西谷「うらやましいぜ！」

『わかりました』







本当にこの1年で取材の数が増えた気がする


テレビだったり、雑誌だったり、中学の頃も中々多かったが今の方が段違いに多い


多分、これから先更に更にと増えていくのだろうが


いやもしかしたら、「春高」に出場したら新聞や朝夕のニュースでも取り上げられ、全国民に知られる男になるかもしれない








縁下「A」

『ん？』

縁下「行ってらっしゃい」

『おう』








今は横に並び、その素性はただの男子高校生だと知っている



しかしいつかはこの手に届かない程、離れた遠い存在になってしまうかも


…違う、「かも」ではなく「しまう」だ







縁下「…」






何だか胸にポッカリと穴が空いた気分






『縁下』

縁下「！」

『行ってくるね』






あぁ、本当にこの男は…


「行ってくる」なら「おかえり」と言わないといけないじゃないか


仕方ない


今はその言葉が言える距離にいれるのだ

大人しく“旦那”の帰りを待ってやろう。

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