コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 206 ページ21

─宮城代表決定戦・一次予選─






男子1「あれだよあれ、ほら烏野」

男子2「え？」





毎年1月頭に行われる春の高校バレー

それに出場できるのは各県代表1校のみ


夢の舞台への切符をかけて、宮城県も今日から大会が始まった







男子1「この前のIH予選、青葉城西とフルセットやってギリギリまで追い詰めた所！」

男子2「まじか！」







烏野高校もそのひと枠を手にすべく、パンフレットに名を連ねていた


つい最近まで「落ちた強豪・飛べないカラス」と呼ばれていた黒のチーム

しかしインターハイ予選の青城戦の戦いぶりを見て、その不名誉な呼び名を口にする者はいなくなった



試合の準備をする彼らを噂するこの男子生徒たちの会話を見てもらえれば分かるだろう






男子1「北川第一のコート上の王様が居るんだと。あ、千鳥山中の西谷も居るらしい」

男子2「中学ん時ベストリベロの？」

男子3「結構粒ぞろいだな」





北川第一の影山、千鳥山の西谷、西光台の東峰


この3人は中学の時に県内では名が知れていた



他にも主将の澤村は土台のしっかりしたレシーブ力だったり、烏野では数少ない長身選手の月島だったり、


日向の神業速攻についても、他校の選手たちは確実に強くなった烏野を警戒し話していた




…そしてなんと言っても、







男子1「…でも、やっぱ"コート場の帝王"だよな」

男子2「なんてったってJAPANだぜ」

男子3「牛若と同じチームとか怖すぎる」

男子1「てか！スパイク打つ手、右から左に変えたらしいぞ」

男子2「俺アップ見たけどエグかった…」








「平成の怪物」とも恐れられた世にも美しい青年。



アップで彼を見た選手は、黒髪の怪物が利き手をスイッチし、その威力やコントロールが増したことに気付いた


宮城県に誕生したもう一人の“剛腕サウスポー”


牛若とはまた違う左利きの選手に皆が更に注目していた








男子1「なんで白鳥沢行かなかったんだろうな」

男子2「絶対推薦来てただろ、もったいねぇ〜」

男子3「俺たちなんかに“帝王”の考えてる事なんか分かるわけないって」








「強豪(白鳥沢)に行けばもっと恵まれた環境でプレイ出来ただろうに」



Aという紅鬼の涙を知らない者はそう口を揃えて言う

仕方ない、“知らない”のだから





チームメイトと会話をする美青年を噂していた他校の選手たちは「とりあえず帝人やべぇ」との結論に至った様だった。

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