コート場の帝王 ６【○○○！！】

帝王 202 ページ12

雀田「聞けた？」

白福「…彼女がいるかいないか、だけ」

雀田「ん〜まぁそれだけでも聞けたならいっか！」






近くから様子を伺っていた雀田は言わば恋の相談相手

あの夏の夜、白福がAに一目惚れしてから何かと「連絡先聞いてみよ！」「まずは挨拶だよ」とアドバイスして来ていた






雀田「あれで彼女いないってことはアンタにもチャンスあるって！」

白福「あるかなぁ〜」

雀田「次は連絡先聞けると大進歩だね」







今は合宿があるから会える

しかし、自分たち3年にとって春高という最後の大会で、もしウチ(梟谷)が、向こう(烏野)が、出場する切符を手に出来なければきっと、一生会えない



だからこそ、「今」が大事なのだ


戦う乙女は強い

雀田は照れ笑いを浮かべる白福を純粋に可愛いと思った






雀田「…(私も、気になってたんだけどな…)」






それと同時に、自分の中にあった小さな初恋に蓋をした













・














『あれ、谷地さ…ん？！』







白福と分かれたAは、先程自分と白福から離れていく時に不満げだった赤葦を探していた


赤葦本人は気付いていないだろうが思いっきり嫉妬のそれで顔が歪められていた

多分、後を追い掛けないと面倒臭い事になる



そう思った黒髪の美青年は選手の合間を縫い、拗ねているであろう彼を探しているという訳だ



しかしその前に緊急事態発生(仮)だった








『うちのがお世話になりました』

谷地「帝人先輩っ」

鷲尾「肉じゃないの食べてたから水飲ませてやってくれ」

『わかりました』







女子の中でも身長が低い谷地が、バレーボールという高さの競技をする男子高校生達に囲まれている図

それは最早、通報されるレベルで危ない


オドオドしていた彼女をAは引き寄せると、「ありがとうございました」と礼を言ってその集団から離れた







『大丈夫？災難だったね』

谷地「いっいえ！私がうろちょろするから…」

『あ、谷地さんお肉食べてないよね？』

谷地「先程食べましたよ！…苦かったけど、」






まだ口の中に残る、人生のような味がした硬い肉

ゴリムシャァ…！という感じの音がしたそれは、多分「肉」ではなく黒焦げになった何かだろう


すると谷地の前に1枚の皿が出された





『ん、これ持って清水先輩のとこ行きな』

谷地「あ、ありがとうございます！」





美味しそうなお肉と野菜におにぎり


流石、モテる男はやはり違う。

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