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ひらひらと美しい蝶が横を舞う。いつだってこの場所は多様な生き物が息づいていてマイナスイオンが凄い。

私は前述した特異体質ゆえに、定期検診を受けにしのぶ様の屋敷を訪れていた。


「本当にいいのですか?」
「はい!これでしのぶ様のお役に立てるならいくらでも!」
「ふふ……頼もしいですね。ありがとうございます、では失礼しますね」

私の腕から、注射の針で血が抜きとられていく。

私の血は解毒の特効薬の研究に用いられている。解毒剤といえば、毒そのものが対象だったけれど、もし私の血を使った薬が完成したら、毒ではなく薬を投与した人の治癒力に働きかけ、一時的に毒を分解できるような体にすることが可能になるらしい。

本当に出来たら、文字通り毒の「万能薬」だ。たくさん作って色んな隊士に常備薬として持たせれば、毒を恐れずに任務に当たることが出来る。


禰豆子を含めた四人組と再び出くわしたのは、またまた全員重症になって今度はしのぶ様の屋敷に運ばれてきた時だった。


「すみません、禰豆子は寝てるとして三人の様子気になるんで、見てきていいですか……」
「勿論です」

しのぶ様から快諾を受けて部屋に向かう。全く戦う度に怪我してたんじゃ体が持たない。……私も人の事言えないけど。


「……あ、炭治郎、起きてたんだね」

体は大丈夫?と尋ねて備えつきの椅子に腰掛ける。起きてると言っても目を開けてるだけだし、両隣には善逸と伊之助が寝ているからあまり大声では話せない。

「二人よりかは軽いよ。Aはなんでここにいるんだ?」
「定期検診だよ。……特異体質だから」
「そうなのか!この前時雨さんが注射を渋ってたのと関係ある?」
「あー、関係あ……」
「お前ら、静かにしろよ。寝られないだろ」

突如会話の中に三人目の声が混じって、私と炭治郎が声のした方を振り返る。

「あ、ごめん善逸……」

くんくんと匂いを嗅いだ素振りを見せて、何か相当怒ってないか……?と呟いていた。

「そろそろ私は行くよ。善逸、うるさくしてごめんね。じゃあ」
「Aちゃん」

立ち上がると同時に扉が開く音がして、控えめに名前が呼ばれる。隙間から顔を出したのは、私よりずっと上背のある、腕のいい鬼殺隊士だった。名前は瀬川口芳乃(せがわぐちよしの)。最近は縁あって一緒に行動している。

「近くに鬼が出現した。君の得意分野だ。行こう」

もちろんそれは、毒を扱う鬼であることを示していて。
私は力なく「うん」と返した。

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作者名:かいぶん | 作成日時:2020年2月29日 17時

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