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その日を境に、フジからは怒涛のLINEが来るようになった。

"絶対キヨのタイプの子なんだって!"とか。

"騙されたと思って一回会ってみない?"とか。

あの手この手で、嫁の友達とやらに会わせようとしてくるフジ。

プライベートでは人見知りな俺が初対面の人といきなり会うなんて当然嫌な訳で。

それ以上に、俺が女の子と話してる所をフジは面白がりたいんだろうなってのが透けて見えるのも気に食わない。

だから、全てのLINEに一言「嫌だ」と一刀両断してた。

……なのに。

異様な程の粘着を見せるフジが折れることはなくて。

会う面倒くささより、断る面倒くささが勝ってしまった俺は、

遂に、

キヨわかったよ、会えばいいんだろ

と返信してしまった。










普段よりカジュアルさを抑えたシンプルな服装に、髪には軽めのワックス。

洗面所の鏡で、まぁこんなもんだろと一人納得して、フジに指定された店へと向かう。

……なんか、妙に緊張する。

期待、というよりかはどっちかと言うと憂鬱。

心臓が落ち着かなくて、行くたくねぇなって感情が強い。

例えるなら、会社の面接に向かう感じ。

俺、面接なんてした事ねぇけど。





行きの電車の中で、どんな顔して合えばいいんだよとか、何の話すればいいんだよとか。

ぐるぐる同じ様なことばかり考えていたら、心の準備もままならないまま店に着いてて。

うわー帰りてぇと思う気持ちを抱えつつも、重い足を店内と向ける。

やけに愛想のいい店員の後をついていくと、辿り着いた個室の扉前。

高級旅館さながら、店員は扉をノックし、ゆっくりと引き戸を開ける。



「お待ちのお客様がお見えになられました」



丁寧な口調で俺の到着を知らせると、一斉に向けられる3つの視線。

普段以上のにやけ顔を浮かべるフジと、結婚式以来の再会となるフジの奥さん。

そして……

八の字になった眉の下で不安そうに大きな瞳を揺らす女性。

間接照明のせいか、どこか儚げな印象があって。

思わず見惚れてから、慌てて目線を外す。



「ごめん、遅れた」



一応遅刻した謝罪を述べて、空けられていた席へと腰を下ろす。

フジの左隣で、彼女の前の席。

荷物を置きつつこっそり前を見やると、緊張しているのか目を伏せる彼女の姿が視界に映った。

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作品ジャンル:恋愛
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あお(プロフ) - かむさん» コメントありがとうございます!とても励みになります〜!きまぐれ更新ですが、お付き合いいただければ幸いです! (2022年5月9日 0時) (レス) id: 35302002c7 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - コメント失礼します!投稿お疲れ様です!このお話、めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2022年5月9日 0時) (レス) @page15 id: 91de7e5fbe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あお | 作成日時:2022年3月11日 10時

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