2.きよくんとドラマ ページ2
.
夕飯も済ませ、風呂も済ませ。
部屋着に身を包んだ俺とAはゆっくりとドラマ鑑賞中。
『えっ嘘……犯人この人だったの？』
「俺の予想通りだわ」
『何言ってんの、きよくんは全然関係ない女の人を犯人だって言ってたじゃん』
「……言ってねぇよ」
『言ってたよ〜！』
気づけば、ドラマの内容よりもしょうもない言い合いがメインになっている。
けど、この時間が案外楽しかったり。
一人暮らしの時は真剣にテレビと向き合っていたけど、二人で見るようになってからは、隣からくすくすと笑い声が聞こえたり一緒に展開に驚いたり。
Aと暮らしてから、同じ時間を共有する楽しさに気付かされてしまった。
そうこうしているうちに、ドラマはクライマックスの雰囲気を醸し出している。
犯人がわかったことにより徐々にドラマへの興味が薄れていた時、
肩に何かが乗っかる感覚。
反射的に顔を向けると、Aが頭を預ける姿がある。
『面白かったね』
ドラマの感想を言うAは、体勢のせいか上目遣いで俺の顔を見ていて。
眠気のせいか少しふわふわとした声色も合わさり、これはなかなかに唆られる。
そんな俺の邪な気持ちに気付いてか、それとも、俺がじっと見つめているのが不思議だったのか。
目線は合わせたまま頭を上げたAは、首をこてんと傾ける。
その動作でさえ俺を煽っていることに、Aは気づいてねぇんだろうな。
丸く見開かれた目がそれを物語っている。
「A」
頬をなぞるように手を添えると、ぴくりと震える肩。
そのまま、ゆっくりと顔を近づける。
あともう少しで触れ合う距離。
……のところで、
唇を塞いだのはAの掌だ。
「おい、あんでやあうんあよ(なんで邪魔すんだよ)」
『だって……』
俺の口を手で抑えたままのAは、目を逸らしながら何か言いずらそうな様子。
未遂に終わったのに、心做しか顔も赤いような気がする。
『だって……』
「あんあよ(なんだよ)」
『だって……！！推しの顔がこんなに近くにあったら照れるに決まってるじゃん！！！』
「………………あ？」
散々溜めといて言う事それかよ。
呆れすぎて思わず溜息出るわ。
口塞がれてっから、漏れる息もねぇんだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - かむさん» コメントありがとうございます！とても励みになります〜！きまぐれ更新ですが、お付き合いいただければ幸いです！ (2022年5月9日 0時) (
レス) id: 35302002c7 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - コメント失礼します！投稿お疲れ様です！このお話、めっちゃ好きです！更新頑張ってください！ (2022年5月9日 0時) (レス) @page15 id: 91de7e5fbe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2022年3月11日 10時
