ゆめならば、どうか。【🍎🍥🐑】 (ページ7)

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ゆるやかに。ページ7

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頷いてしまえば早かった。
くるり。なるせさんがひとつ指を回した途端、甘い香りがして、瞬きする間に汗でぐっしょりだった洋服は、綺麗なワンピースに早変わりしていた。柔らかな素材に、色は真っ白で、金色のレースラインが裾に入っている。んしし、と笑ったあと、なるせさんはどう？と尋ねた。

「か、かわいいです……」

「でしょ。」

「なるせセンスいいからねえ、なんかあったら言ったらいいよ」

案内するからおいで、とあらきさんが手招きをした。
めいちゃんさんが私に向かって手のひらを差し出して、きょとんとしていれば手を取られる。ひんやりとした冷たい手が私の腕をぐ、とひいた。急に立ち上がったせいかぐらりと視界が揺れた気がして、前に倒れ込みそうになるのをめいちゃんさんが腰を引いて、そのまま支える。
急に端正な顔が近づいて、ひぇ、と間抜けな声を漏らすしかできない。
にぱ、と笑う彼は、おいでー、とそのまま私の手を引いてずんずんと歩き出した。

木製の扉をくぐれば、窓から入ってきた冷たい風が頬にあたって、ふんわりと甘い香りがした。甘酸っぱいような、お花のような、石鹸みたいな、どれにも似つかない不思議な香り。廊下の奥からは、美味しそうなご飯の匂い。

「目が覚めたら、と思って色々作ってたんですけど、食欲ある？」

「え、と……はい、そうですね」

じゃあ案内はその後に、と、あらきさんと視線が交わって。
不意に、ズキズキと心臓がいたんだ。その拍子に、がくんと脚の力が抜ける。酸素を上手く取り込めずに、私の手を握ってくれていためいちゃんさんのシャツの袖口を握りしめるしかできない。
ばくばく。ばくばく。
自分の心臓の音だけが聞こえて、意識が白んでいく。
するりと、頬に冷たいものが触れた。

「だぁいじょうぶ、ゆっくり息して。……もう痛くないから」