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ごん、と頭を殴られたような衝撃。なんとなくわかっていたような気もしなくは無いが、それはそれとして、改めて言葉にされるとショッキングだ。
押し黙ってしまった私を見て、再度ごめんね、と謝られる。頭の中がぐるぐる混乱して、気の利いた言葉を言う余裕もない。
そして、思ったよりも彼の言葉をすんなりと飲み込んでいる自分に少しの恐怖を覚えた。人間ってこんなにも適応能力が高いものなのか。


「んで、まあ、なんか質問とかある?」

「……いや、特には……」

「そう。……あ、名前聞いてねぇや、なんて名前?」

「こ、河野Aです」

「A!かわいい!」

「ちゃんめいまじ急にデカい声出すのやめてくんね?」


耳裂けるわ、とぶっきらぼうに言うなるせさんは、私を一瞥してごめんな、と口を動かした。それに釣られるかのように、めいちゃん、さん、も私の方をむく。ごめんねー!と言う声ですら中々に通る声だけれども。うるせぇ、と小さく笑うあらきさんの声もした。


「でもA、迷い込んだのが俺らんとこでよかったね!」

「え……?」

「もーっと北の、奥の方行ったら、変なのに食べられてたかも!」

「……たべっ、」

「お前マジでさ、なんで余計なこと言う??あらきも俺もあえて黙ってたんだわ」

「……まー、そういう種族もいるってだけっすよ、この辺には居ないから安心して」


……そう、言われましても。
めいちゃんさん、はなるせさんに怒られながらもやはり口角は上がったままで、私の反応を見ながら楽しんでいるようだった。ほんとにごめん、と思っているのかどうかすらも分からない。


「とりあえず俺らも調べては見るけど、わかるまでの間はこの家にいなよ。安全だから。」

「そーそー!1歩でたらたべられるかも!」

「だからお前さぁ」

「ごめんって!!嘘!!」


嘘だよ〜、と、また猫撫で声。愛玩動物か何かだと思われているのだろうか、私。
……正直、ここにいることに、少しばかりの抵抗がなかった訳では無い。
けれども、ここを出た所で、どうする?
あらきさんの説明を信じるには、要素が十分すぎるほどに揃っている。ここから出たところで帰るすべが無いのは本当なんだろう。
だとすれば、もう。


「……よろしくお願いします……」


ここにいる以外に選択肢がない。
控えめに頭を下げた私に、3人が満足気に頷いた。

ゆるやかに。→←■



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をわ(プロフ) - こちらも拝見させていただきました!口調がそれぞれ声で想像できるくらい理想ですごく素敵です…!更新応援してます! (1月5日 5時) (レス) @page8 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらのその。 | 作成日時:2023年12月19日 1時

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