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「な、なに、ここ、」


つぶやきも虚しく、猫だけが私に反応する。にゃ、と小さく鳴いた猫は、まるで私を案内するかのように奥へと足を進める。……行く、しかない、のか?え、ほんとに?
いくら後ろを向いたところで、元の場所に帰れそうにもない。ましてや、後ろは草花が道を邪魔するように生い茂って、とても入れそうには無かった。

チリン、と鈴のような音が鳴る。
ジンジンと鼓膜に響いたそれに、耳が痛くなる。
じわりと嫌な汗が手のひらに滲んで、どくどくと心臓が脈を打つ。


「……あれぇ、珍しいっすね、人間」


いつの間にか目の前に立っていたその人は、ルビーのように真っ赤な瞳で、私を見据えた。
その人の足元へと擦り寄る黒猫の瞳もまた、いつの間にか、赤く染っている。

真っ白な肌に、パチリとした目。美を集約したように端正な顔立ちをしたその人は、真っ黒なローブに身を包み、きゅっと目を細めた。
呼吸が浅くなる。足が震えて、力が入らない。


「……やっと」


やっと。
その先を、聞く前に。

するりと意識が、隙間を抜けていった。

ようこそ。→←はじめまして、くろねこ。



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をわ(プロフ) - こちらも拝見させていただきました!口調がそれぞれ声で想像できるくらい理想ですごく素敵です…!更新応援してます! (1月5日 5時) (レス) @page8 id: ab4027dd5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらのその。 | 作成日時:2023年12月19日 1時

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