【相棒】警察庁からのスパイに恋を (ページ6)

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5話ページ6

1週間後……

黒井はいつもよりフォーマルな格好で警視庁を歩いていた。

5年振りに訪れた警視庁はあまり変わってなかった。一呼吸置き、歩き始める。受付の前を通ってエレベーターを待っていると後ろから声を掛けられた。

「はい？」

後ろを向くと背が高い警察官らしくない服装の男性が立っていた。

その男性には見覚えがあった。確かあの資料で見た……そう、冠城亘だ。

冠「これ、落としてない？」

そう言い冠城はハンカチを差し出した。

「あ、それ、私のです。ありがとうございます！」

笑顔で受け取ると冠城も笑顔で返した。

エレベーターが着き、黒井と冠城は一緒に乗った。

冠「警視庁は初めてなの？」

冠城は黒井のフォーマルな格好を見て思ったようだ。

「いえ、警察庁から異動になりまして。昔は一応警視庁に居ましたよ、確か……警備課だったかな」

冠「え、エリートじゃん」

冠城が驚いた声を上げると黒井は照れたようにはにかんだ。

「まあ今ではサイバー課の数合わせ用員ですよ」

黒井が自嘲気味に笑うと冠城は驚いた表情を見せた。

冠「え、サイバー課に異動になったの？」

「ええ。何か？」

冠「いや、サイバー課に青木っていう仲の良い奴が居るんだ。そいつの下で働くのは可哀想だな……ってちょっと思っちゃって」

青木が冠城の口から出てきたことに黒井は少し体を強張らせた。