22話 ページ23
黒井は伊丹をチラリと見ると、駆け寄って来た。
「伊丹さん？ずっとそこに居ましたけど何か仕事でも？」
急に声を掛けられた伊丹は驚き、後ろに飛び退いた。
「あっすいません……でもずっと居たので何か仕事でも頼みたいのかな〜って思って」
伊「いや別に……」
タジタジな伊丹を見て芹沢はにやけている。
「じゃあ失礼します」
何もないことが分かると黒井は伊丹の横を通り抜けて屋上へと向かって行ってしまった。
伊「……」
伊丹は少し頬を染めながら黒井の向かう方へと歩いて行った。
—————————
伊「黒井さん」
屋上に着いた所で伊丹は声を掛けた。
「あぁ、どうも」
黒井はタバコを持ったまま少し頭を下げた。
「……どうでした、記者の……泉悠人、でしたっけ。引っ張ってきたそうですけど」
伊「あっさり認めましたよ」
意外と直ぐに事件が解決したことに黒井は少し驚きつつもこんなものなのかと思った。
「そうですか」
あまり気の無い返事で返し、火を消してその場を離れようとした。
伊「あの」
伊丹が少し大きい声で黒井を呼び止めた。黒井が振り返る。
伊「良かったら……明日、ランチでも行きませんか」
伊丹の一言に黒井は少し驚いた表情を見せ、微笑んだ。
「喜んで」
黒井はそう言い小走りで戻って行った。
伊丹は黒井が行ったのを確認した後、1人ガッツポーズをした。
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作者名：Rei | 作成日時：2023年10月22日 14時
