冬の記憶【オリジナル】 (ページ18)

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第十八話△ ページ18

「……で、今回はどうした？私は許した訳じゃないけど？」

ぐっと呻き声のような声を出したあいつは、仕草も全部ぜんぶ、私の大好きなあいつにそっくりで。

夢ということを忘れそうになっていた。

「い、いや、Aちゃんも突然だったし、お別れの挨拶とかしたいなーって思って来ちゃった！」

てへっとでも言いそうな軽さであったが、慣れているのでスルーで。

「……お前は、本物の咲夜か？夢の中での、私の記憶の中での咲夜？」

夢の中のはずなのに、妙にリアルな風が吹いた。

「どっちでも良いんじゃない？わたしはわたしでございますよ」

ふふっと笑う。

……ああ、この空気は嫌いだ。

「まあ、夢だと思わせてもらうよ」

「了解！」

ビシッと敬礼をするあいつ。

「私の話は後でいいや。お前から話してよ」

一瞬困ったような顔をしたあいつだが、しょうがないなーと語るように話し始めた。

これから話されるのは短い話。

夢のはずなのに、私の知らなかった話。

目の奥が少し、熱くなった。