妹と幼馴染とトラウマ【オリジナル】

ない ページ44

◇


＿＿＿本当に。

真面目に俺がここにいるのは場違いな気がする。

どうも。空気の読めない木之原駿です。みんな覚えているかな？

……何やってんだ俺。




俺は隼人に何も聞いていなかったし、野上さんとのことも全く知らない。

でも何となく事は理解したつもり。



なんかなー、客観的に第三者目線で言うと、俺にはどうもみんなして隼人を追い詰めているように見えて堪らん。

それが神崎さんと野上さんだけじゃないからもっと気に食わない。




自分で自分追い込んでも良いことないぞー。

……何て言えるわけもなく。


ただ眺めているだけの俺だからこそ、冷静に事が見えているんだろうけどね。




涙を流す隼人を、野上さんは少し目を見開いていた。


正直俺も驚いていた。見たこと無かったし。隼人の泣き顔なんて。

……見たくもなかった。



しかしこの場では、誰も隼人を慰めようとはしない。

俺も含めてね。


見ているだけでもここは息苦しい。

互いを責めて、自分を責めて、それならもういっそ、両成敗ではだめなのだろうか。




……思っても言えない。言える空気じゃない。自分がいるべき空間ではない。

何一つ知らない俺は、

口を挟む、権利も資格も理由もない。


……何も、ない。

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