敬語じゃなくても ページ32
思い出話のように、懐かしそうに笑ってそう言った。
本人にしかわからないのだろうけど、俺は大切な人が死んだとき、
泣くというより、埋まらない空虚感がずっとあるような感じな気がする。
だから涙なんて、その空虚感が現実として受け入れた頃に出るんだと思う。
……まあ、勝手な自論だけど。
それが当たっているなら、俺はガキみたいに泣かない。
そっか。と同じように笑い、軽く返事をした。
「……Aたちのところ、戻ろっか!そろそろ話し終えてて貰いたいし」
最後が願望だったのは気にしないでおこう。
「そうですね」
そう笑うと、神崎さんはこっちを見たままピタリと動きを止めた。
不思議に思い、「神崎さん?」と問うと。
「敬語じゃなくて良いんだよ?」
あと、さん付けしなくても。
口を尖らせて言う神崎さんだが、俺は状況に頭がついて行かなかった。
「……え、」
言葉の理解が追いついたのには、大分時間が掛かった。
「いやいやいや!」
そうして腕をブンブン振る。
嬉しさよりも困惑する方が大きい。いやだって!
……で、でも。
「じゃ、じゃあ、敬語だけ外すよ」
何だか急に恥ずかしくなってきて、多分俺の顔はまたまた真っ赤だ。
「えーさん付けはー?」
不貞腐れたような顔をしているが、楽しんでいるように見えるのは俺だけか!?
「そ、それだけはご勘弁」
しょうがない!
神崎さんは子供みたいにふふっと笑った。
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
碧季@低浮上(プロフ) - マリさん» シリアスなシーンはまだ続くと思います(汗)ありがとうございます!頑張ります! (2016年5月8日 10時) (レス) id: a7605a7da1 (このIDを非表示/違反報告)
マリ - これからも頑張ってください (2016年5月7日 22時) (レス) id: 74ba3d39a2 (このIDを非表示/違反報告)
マリ - すごく泣きそうな気持ちになりました (2016年5月7日 22時) (レス) id: 74ba3d39a2 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 了解! (2016年3月12日 21時) (レス) id: 3329057c38 (このIDを非表示/違反報告)
碧季(プロフ) - えみさん» さすがの私もそれくらいわかりまっせww すまん!他の評価少ない作品なら長々と話しても大丈夫たがら次そっちにコメお願いします…! (2016年3月12日 21時) (レス) id: a7605a7da1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧季 | 作成日時:2014年12月20日 21時