泣くことは、 ページ31
◇
____それ以来、“人を好きになる”ってことが怖いんだ。嫌でも思い出しちゃうの。
頬を濡らしながらも口角と目元を笑わせる。
「……だから、ごめんなさい」
座っているところには、小さく段差があった。少し曲げた膝に手を置いて、頭を下げる。
いつも笑っておちゃらけていた神崎さんは、どこにもいない。
……そんな顔されて、そんな声で話されたら、もう受け入れるしかないじゃないか。
それくらい、先ほどの話と今の返事に心が痛んだ。
「わかりました。話してくれて、ありがとう」
上手く、笑えただろうか。
俺は、泣くことは多分無い。泣いてはいけない気がする。
「もうひとつ、訊いても?」
「いいよ」
この質問の答えによって、俺は絶対泣かない。
「____その方が亡くなった時、神崎さんは泣きましたか?」
最低な質問だと思う。
それを聞いて何になる?と言われると、何とも言えない。
でも、俺にとっての“けじめ”みたいなもの。
神崎さんは少し目を見開いた。
予想外の言葉だったのだろうか。
……やっぱ、別の質問にすれば良かったか。
すると、神崎さんはくすくす笑った。
そんな笑い方は聞いたことがなかったので、言うまでもなく俺の顔は真っ赤だ。
「ううん。泣かなかったよ」
ああ、やっぱり。
その言葉は、ストンと心に入っていった。
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碧季@低浮上(プロフ) - マリさん» シリアスなシーンはまだ続くと思います(汗)ありがとうございます!頑張ります! (2016年5月8日 10時) (レス) id: a7605a7da1 (このIDを非表示/違反報告)
マリ - これからも頑張ってください (2016年5月7日 22時) (レス) id: 74ba3d39a2 (このIDを非表示/違反報告)
マリ - すごく泣きそうな気持ちになりました (2016年5月7日 22時) (レス) id: 74ba3d39a2 (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 了解! (2016年3月12日 21時) (レス) id: 3329057c38 (このIDを非表示/違反報告)
碧季(プロフ) - えみさん» さすがの私もそれくらいわかりまっせww すまん!他の評価少ない作品なら長々と話しても大丈夫たがら次そっちにコメお願いします…! (2016年3月12日 21時) (レス) id: a7605a7da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧季 | 作成日時:2014年12月20日 21時