妹と幼馴染とトラウマ【オリジナル】

状況 ページ21

「……ったいですね。なにするんですか。喧嘩売ってんですか」

聞くだけでも痛そうだったチョップが当たった後頭部をさすり、立ち上がろうとする野上さん。


「Aが先に木之原君に喧嘩ふっかけたんでしょ？あたしはそれを止めただけー」

いつもの口調に加え、親指を鼻につけ手を広げ、見るからに挑発する神崎さん。



＿＿＿＿そして。

「(た、助けてー！隼人！お願い！誰でもいいからこの場から俺を……！)」

動こうにも動けなく、口を出そうにも火に油を注ぐような状況を、黙って見ているこの俺。



ここで隼人が来てくれたら！

……あ、でもこの状況であいつが来たら、まさに昼ドラにありがちな修羅場じゃね!?


俺はその光景を思い浮かべる。



神崎さんを好きな俺。

野上さんと親友の神崎さん。

隼人と俺を嫌ってそうな野上さん。

野上さんを好きな隼人。




……状況整理だな。



親友二人は言い争い。(まずここが駄目だ！)


隼人は好きな子となんか気まずい。(出会ったらやばくね？)


俺と隼人は親友。(ここ大事！)


神崎さんと俺は何か野上さんに誤解されてる。(俺にとってはうれ……なんでもない！)


隼人と神崎さんはー、姉弟みたいだな。(羨ましいなんて思ってないぞ!?)




「(……えーこほん。只今、俺は絶体絶命という言葉が似合いそうです)」


やばい。全然うれしくない。

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