歪情 (ページ10)

今日:12 hit、昨日:25 hit、合計:55,247 hit

団地 - Hokuto side ページ10

yg「あの矛盾のことは一度置いておいて、今はとにかく例の2人のことを調べよう。」

hk「そうですね、まだ手持ちの情報が少ないですから。」

現場は大体見尽くしたので、裏山から団地へと戻って来た。
現場を見たら次は事情聴取だ。
髙地さんの父親が生前度々訪ねていた家があるらしい。

yg「……ここだ。」

髙地さんは「102 須藤」と記されたプレートを確認すると、インターホンを鳴らした。
当時、樹くんは同じく一階に住んでいて割とよく見かけていたらしい。

「はい、どちら様？」

yg「すみません、北六音警察署の髙地と松村という者なのですが、少々お時間よろしいでしょうか？」

「あら、あの髙地さん？」

「ちょっとお待ち下さいね」と年配の女性の声が聞こえ、しばらくするとガチャっとドアが開いた。

「あらあら、こんにちは。」

yg「こんにちは、生前は父がお世話になりました。」

「まぁ、どうりで苗字が同じだと思ったら、息子さんなのね。」

yg「えぇ、今日は父の捜査を引き継いだ上でこちらにお伺いしました。」

「まだ続けていらっしゃるのね、さぁさ、こちらへどうぞ。」

どうやら髙地さんとのやり取りを見ている限り気さくな優しい方みたいだ。
「お邪魔します」と小声で言うと、靴を脱いで上がらせて頂いた。

「良かったらどうぞ、外は暑かったでしょう？」

yg「ありがとうございます。」

hk「ありがとうございます、助かります。」

椅子に座ると目の前に冷たい緑茶が置かれた。
髙地さんは「あっちぃー」とまた例の口癖を呟きながらゴクゴクと飲み干した。
父親と面識があるからか事情聴取の割には多少リラックスしているように見えた。

「それで、樹ちゃんのことかしら？」

彼女は彼のことを樹ちゃんと呼んでいたらしい。
俺は手帳とボールペンを構えて、いつでもメモを取れる体勢をとった。
ふと窓の外に視線を移すと、鳥が群れをなして飛んでいくのが見えた。