歪情 (ページ25)

今日:6 hit、昨日:25 hit、合計:55,241 hit

2 - Juri side ページ25

「てかこいつ、お前のダチか何かなの？」

「あはは、お父さん息子のこと何にも知らねぇわ」と父親でもないくせにわざとらしく父親ぶる彼に怒りが込み上げてくる。

ふざけんな。
誰があんたの息子だ。
俺は死んだママとパパの息子なのに。

「来いよ、まだ終わってねぇんだよ。」

雅人さんはジェシーの胸倉を無理矢理掴んで引っ張り、俺の腕から引き剥がした。

jr「離してよッ！」

「あ？っせえんだよ！」

jr「い゛ッ、！」

雅人さんを止めようと腕を掴むと、思い切り振り切られ地面に尻もちをついた。

痛い。
手をついた時に草で指を切ったらしい。
右手にある石は無事だが、地面についた方の手で握っていた懐中電灯がどっかにいってしまった。

「なんだその面、てめぇ睨んでんじゃねぇよッ！」

ジェシーが彼に顔を蹴られて地面に倒れ込む。
怒号を浴びせられているその様子が、いつもの自分と重なって胸がぎゅっと苦しくなる。

やめて。

やめてよ。

俺のジェシーに手出さないで。

背中を蹴られ、髪を掴まれとあまりに残酷で理不尽なその様子に、何かがぷつんと切れ、頭が真っ白になった。

「立てよ、おら、てめぇッ……う゛ッ、！」

気づけば目の前で雅人さんが倒れていて、俺の手の中には真っ赤に染まった石。
雅人さんの頭から流れるものと同じ色をしていた。

jr「まさ、と……さ……？」

何度揺すっても動かない彼を見て状況を理解した。
一気に青ざめ、全身の力が抜けていく。

どうしよう。

どうしよう、俺…………。

…………人、殺しちゃった………………。

jr「ど、しよ……俺、どうしッ……。」

どうしよう。

頭が真っ白になってそれしか言えない。

どれくらい経っただろうか。

言葉を発する力も無くなった俺は、目の前で頭から血を流して倒れている雅人さんを見て立ち尽くしていた。

その時、

js「じゅ、り……。」

背後から聞こえてきた小さな声に振り返ると、ジェシーが起き上がっていた。