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「……あいつと何話してたんだ」
校舎を出ると、イトナが地面に座り込んでじっとりとこちらを眺めていた。カルマと2人でいたから、不機嫌なのか。
「告白の返事」
私が言うと、イトナは素速く立ち上がって私の肩を掴んだ。
「なんて言った？」
「カルマに告白の返事してきた」
満面の笑みで言った。イトナは力を無くしたように地面に膝をつき、両手で顔を覆った。
「お前……俺をいじめて楽しいか……？」
「なんでいじめになるのよ。むしろ朗報でしょ？」
「どこがだ……」
私は、がっくりとうなだれるイトナにゃがみ込んでを近づけた。不思議そうに丸くなるその瞳を見つめ、はっきりと私の気持ちを伝える。
「イトナ、好きだよ」
その真っ直ぐなところも、馬鹿なところも、全部……大好き。
イトナの瞳はどんどん大きく見開かれていき、時が止まったかのように硬直した。ぽかんと突っ立っている様を端から見ていると、そのうち倒れているのではないかと思ってしまう。
イトナはぴくりとすら動かなくなってしまった。
「……ねぇ？ ちょっと……」
さすがに不審に思って肩でも叩こうかと思ったとき、ようやくその口が動いた。
「もう1回言ってくれ」
「え……。……ったく」
思わず髪をかきあげた。自分の気持ちを認めた今でも、そう何度も口にするのはさすがに恥ずかしいのだ。
それでも……少しくらいは、ね。今まで素直にならなかった分、ちゃんと言ってあげないとかな。
「好きだよ」
「もう1回」
「好き」
「もう1回」
……何回言わせるのよ。
これじゃ延々と言わされるような気がする。こっちだって恥ずかしいんだよ……。
「……好き。大好き」
これで最後になるように、私は大に力を込めて言った。すると、満足したかのようにイトナはにひっと笑顔を浮かべた。
「そうか……お前が……俺を……」
ぶつぶつ何か呟くと、イトナは頬を赤くして、それでもやっぱり嬉しそうな笑顔のまま私に抱きついてきた。
「わっ!?」
「葵！ 大好きだ！」
背中に手を回され、思い切り抱きしめられる。温かくて力強い体に包まれた。この上なく恥ずかしいのだが、逃げ出すのは無理そうだ。
「……うん」
その日は、イトナの要望に応えて手を繋いで帰った。イトナはまるで、おもちゃを買ってもらった子供のように嬉しそうだった。
絡まっていた糸がほどけたように、私の胸もすっと軽くなっていた。
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るーちゃん - とても良かったです!天才ですね！ (2016年6月13日 20時) (
レス) id: 05d2391dee (このIDを非表示/違反報告)
銀龍(プロフ) - 夏凪さん» ありがとうございます。いつもいつも一番に応援してくれたのは貴方でした。貴方様も頑張って下さい。 (2015年7月24日 18時) (レス) id: ba8182eb33 (このIDを非表示/違反報告)
夏凪(プロフ) - 完結おめでとうございます！もう、貴方の文に心を奪われました！責任とってください！←今までも、これからも私は貴方の大ファンです！これからも頑張ってください！ (2015年7月23日 19時) (レス) id: 44b9b683a2 (このIDを非表示/違反報告)
銀龍(プロフ) - きの子さん» 初期から熱烈な応援ありがとうございました。貴方様の名前は忘れません。ご愛読ありがとうございました。 (2015年7月22日 19時) (レス) id: ba8182eb33 (このIDを非表示/違反報告)
銀龍(プロフ) - 氷翠さん» 応援ありがとうございました。最後まで読んでいただき光栄です。 (2015年7月22日 19時) (レス) id: ba8182eb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀龍 | 作成日時：2015年6月4日 21時
