第三十五話 ページ34
you side
『ううぅ…いてぇ…、なんかもう全部いてぇ…』
起きてまず思ったのが、体中痛い、だった。
当たり前のように二日酔いで頭はガンガンするし、布団も敷かず畳の上で一晩寝たせいで体がギシギシする。
昔は床で寝たってたいしたことなかったのに、もう若くねぇな。
戸を開けると陽の光に目を細める。
今何時なんだろう、スマホ…うわ、縁側に置きっぱなしじゃん。
充電は切れてないか。
てかゴミ散らかしっぱなしだ、やっべ。
『……ま、俺しかいねーし別にいいか』
誰が見ているわけでも聞いてるわけでもないのに言い訳をして片付けを始めた。
それからシャワーを浴びて、一服するためにまた縁側に出る。
『ん？』
煙草に火をつけて一口吸ったところで、隣からガラガラという扉の開く音が聞こえてきた。
しかも真横、焦凍の家の方。
なんとなく気になって、少し大きめの岩に乗って塀から外を覗くと、やはりそこに居たのは焦凍だった。
眼鏡がないので少しボヤけるが、あの赤白頭は間違えようがない。
『お出かけ？』
「！…ああ、病院行ってくる」
『病院？え、なんだ、調子悪いのか？』
「お母さんに会いに行く」
焦凍は俺の目を真っ直ぐ見て、はっきりとそう言った。
驚きのあまりポロリと口から煙草が落ちる。
慌てて煙草を拾ったために火に触れてしまい、その熱さにまた驚いて乗っていた岩から落ちた。
塀の向こうから焦凍のため息が聞こえた気がする。
『いてて…』
「おい、大丈夫か？」
『ああ、大丈夫…じゃなくて、ちょっとそこで待ってろよ！』
ろくに説明もせずそれだけ言い残して急いで部屋に戻った。
適当な服に着替え、洗面所に置きっぱなしだった眼鏡をかける。
それから玄関で財布と鍵をとって家を出た。
もしかしたら焦凍は行ってしまったかもしれないと思い道に出るが、焦凍はちゃんと待ってくれていてホッとした。
『病院まで送るよ』
「！いや…」
『そんな遠慮すんな、ほら行くぞ』
「……ありがとう」
『ん！』
少し俯いて礼を言う焦凍の頭をくしゃりと撫でた。
『藤谷病院でよかったよな？』
「ああ」
場所を聞いて車を発進させた。
どこに入院してるのかは、昔冬美ちゃんから聞いたことがある。
焦凍もそれはわかってると思う。
なんで急に会いに行く気になったのか。
正直めちゃくちゃ気になる。
けど、今聞くことじゃないな。
．
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ありと(プロフ) - るるさん» るるさま、コメントありがとうございます！更新遅くて申し訳ないです…頑張ります！ありがとうございます！ (1月13日 9時) (
レス) id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
るる - すごくこの小説気に入りました！ 更新頑張ってください！ (1月11日 22時) (レス) id: b6f4e9157d (このIDを非表示/違反報告)
ありと(プロフ) - 白さん» 白さま、コメントありがとうございます！コメント頂けただけで感激です！ありがとうございます！！更新がんばります！ (2022年10月18日 1時) (レス) @page17 id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
白 - 応援してます！(自分語彙力なくて語りたいけど語れませんんんん)とにかく好きです！！ (2022年10月18日 0時) (レス) @page17 id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
ありと(プロフ) - Ribさん» Rib様、はじめまして！コメントありがとうございます！すごく嬉しいです！！先は長くなりますが、これからもよろしくお願いします！！更新頑張ります！ (2022年10月17日 16時) (レス) id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありと | 作成日時：2022年10月5日 22時
