第三十四話 ページ33
no side
轟焦凍にとって、Aの隣が最も居心地のよい、自由でいられる場所だった。
母親と離れて以降、それはより一層大きな存在になる。
そして、Aに向ける感情が、ただの隣人に向けるものとは違うことに気づき始めたのは、Aがヒーローとして活動を始めてからだった。
轟は、月に数回帰ってくるAに会いに行くのを何よりも楽しみにしていた。
Aはメディアを嫌っているが、ヒーローとして活動しているからには、ニュースなどに取り上げられる事がある。
それを探すのが日課になっていて、気づけばAの事を考えていた。
中学に上がり、女子から告白されても、Aが帰ってきた時に会えなくなるのも嫌だと思い、付き合うことはなかった。
そうしているうちに、Aを恋愛対象として好きなんだな、とふと思った。
Aへの気持ちが確かなものになったのとほぼ同時期、Aのヒーロー活動が忙しくなり、帰ってくる頻度は極端に減った。
会えない期間が続いても、Aを好きな気持ちは変わらなかった。
だから、轟が家の屋根に登り、Aを見つけた時は心底驚いた。
たまらなく嬉しかったことだろう。
轟は、Aに自分の気持ちを明かす気はない。
今のこの関係を失うよりは、好きな気持ちを隠していた方がずっといい。
そう思っていたはずなのに、
『おお、お前意外とほっぺ柔らかいな』
「……」
轟の頭を撫で回していたAの手はいつの間にか顔に移動し、今度は両手で頬を触り続けている。
少し赤らんだ顔をほころばせ楽しそうにしているAを間近で見て、轟は触れたい衝動を必死に抑えていた。
「(こんな風に触られたら、勘違いしそうだ)」
『あ、触りすぎた？痛いか？』
「痛くない、大丈夫だ」
『そっか』
轟はAの手が離れるのを名残惜しそうに見つめていた。
Aはそれに気づくことはない。
『さすがに冷えてきたな…部屋戻るか』
「そうしろ。俺も帰る」
『そ？送ろうか』
「別にそこから帰るからいらねぇ」
そこ、と言って轟は塀を見る。
塀飛び越えて行き来すんのやめろ、とAは言うがその顔は笑っていた。
轟は氷で足場を作ると塀を飛び越えて帰って行った。
残されたAは、その方向を少しの間見つめた後、ゴミをそのままに隣の和室に入り、戸を閉めてゴロリと寝転ぶ。
そのまま寝入ってしまい、気づけば朝になっていた。
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ありと(プロフ) - るるさん» るるさま、コメントありがとうございます！更新遅くて申し訳ないです…頑張ります！ありがとうございます！ (1月13日 9時) (
レス) id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
るる - すごくこの小説気に入りました！ 更新頑張ってください！ (1月11日 22時) (レス) id: b6f4e9157d (このIDを非表示/違反報告)
ありと(プロフ) - 白さん» 白さま、コメントありがとうございます！コメント頂けただけで感激です！ありがとうございます！！更新がんばります！ (2022年10月18日 1時) (レス) @page17 id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
白 - 応援してます！(自分語彙力なくて語りたいけど語れませんんんん)とにかく好きです！！ (2022年10月18日 0時) (レス) @page17 id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
ありと(プロフ) - Ribさん» Rib様、はじめまして！コメントありがとうございます！すごく嬉しいです！！先は長くなりますが、これからもよろしくお願いします！！更新頑張ります！ (2022年10月17日 16時) (レス) id: 6a2ec03b50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありと | 作成日時：2022年10月5日 22時
