22、絶対戻るから ページ22
【鬱先生】
ut「は！？！？お前何言っとるん！？」
rb「絶対捕まるわ！！」
俺らの言葉に、シッマは人差し指を立てる。
静かにしろという意味だろう。
rb「すまん…でも、お前だけ犠牲になるとか認めへんぞ！？Aを守るんやろ！？」
kn「だからや」
rb「…え」
kn「このまま皆で捕まっても意味ないやろ。せめて、Aだけでも守りたいねん。」
ut「で、でも…Aちゃんはシッマのことが好きで…」
kn「あぁ、分かっとるよ。」
コネシマはAちゃんを一撫でする。
kn「捕まるとは言ってへん。それにもう時間もあらへん。」
シッマの真っ直ぐな言葉と水色の瞳にまるで吸い込まれるように、
俺はシッマを……信じるしか無かった。
ut「…分かったわ、絶対戻って来いよ。」
kn「もちろんや」
コネシマは、今できる最高の笑みを浮かべて立ち上がった。
否、立ちあがろうとした。
グイッ
コネシマの服を誰かが引っ張った。
『……お兄ちゃん、どこ、行くの…？』
kn「A…」
悪いタイミングでAちゃんが起きてしまったのだ。
『ねぇ、…Aも連れてって…？』
kn「…」
kn「ごめんな、兄ちゃんちょっと遠くへ行くねん。だから、Aは待っててな。」
『いやだっ！！』
kn「…！」
『行かないでよ…ずっと一緒に居て…』
シッマの服を両手で掴んで、しゃくり上げる。
ここまで泣いているのはきっと、熱のせいでおそらく感情のコントロールが出来ていないのだろう。
いや……シッマから離れたくないのは本当かもしれない。
そんなAちゃんの頭をシッマは優しく撫でる。
kn「絶対戻るから…良い子に待っててくれるか？」
『いやだよ…！』
「おい、今こっちから声が聞こえなかったか？」
rb「やばい…！来るぞ！？」
kn「A…すまん、離してくれるか…？」
『嫌…！』
ut「…」
俺は、覚悟を決めてAちゃんを抑えつけた。
と同時に、Aちゃんの手も離れた。
『！？う、鬱お兄ちゃん…！？離してよ…！』
ut「シッマ！今の内に！！」
kn「サンキューな！！」
シッマはニカッと笑って見せると、走り出した。
「おい！！そっち行ったぞ！！」
「逃がすか！！」
シッマにつられて男達も走り出す。
『嫌…！行かないでよ……お兄ちゃん！！』
ut「Aちゃん！！」
『う…』
少女はそのまま息を殺して泣き続ける。
……よっぽど辛いだろうな。
rb「大丈夫や、A。あいつは……コネシマは絶対戻るって言ってたやろ！」
『……うん』
俺らはAちゃんをただただ撫でることしか出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラム猫。(プロフ) - 無能のえび?■さん» ありがとうございます〜！続編も予定してますので、これからもよろしくお願いします！ (2022年7月2日 22時) (
レス) id: c5599bddd6 (このIDを非表示/違反報告)
無能のえび?■(プロフ) - めちゃくちゃこういう話好きです（唐突な告白）応援してます！！ (2022年7月2日 21時) (レス) id: 1a63966cd0 (このIDを非表示/違反報告)
ラム猫。(プロフ) - 翔星さん» コメント、ありがとうございます！これからも頑張ります！提案とは何でしょうか？ (2022年2月23日 17時) (レス) id: d966995688 (このIDを非表示/違反報告)
翔星 - わぁ、すごく良い小説ですね！ …提案なんですけど、っていうのはどうでしょうか？ これからもがんばってください！ (2022年2月23日 17時) (レス) id: 0bc9a44903 (このIDを非表示/違反報告)
ラム猫。(プロフ) - 猫さん» 盛りだくさんの誉め言葉、ありがとうございます!!これからも更新頑張っていきますので、もっと心臓に矢を刺される覚悟をしてください!! (2022年2月18日 16時) (レス) id: 7f9f611098 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ラム猫。 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aoiwrwrd4/
作成日時：2022年1月23日 21時
