蝕め、呪詛【d！】

No,30 ページ31

zm「……後ろ、がら空きやで…！」

「！…ｶﾞﾊｯ！」


『甘い』

「ｸﾞｯ……クッソ…！」


二人の周りはあっという間に死体だらけだ。

流石、国の誇る暗殺部隊といったところだろうか。
もう、数えきれない程殺している。

『返り血酷いな……』

zm「怪我ない？」

『平気』

いくら強いと言っても、いつ敵が来るかは分からない。


今、Aを近くで支えられるのはゾムだけだ。
作戦を成功させる為には、倒れられては困る。


『……』

zm「どうしたん？」

敵の首をナイフで切り落としながら、険しい表情のAに問う。


『変な匂い、しない？』

Aに言われて、ゾムは空気を鼻から何度も吸い込む。
一瞬だけ、ツンっと鼻が痛んだ。

それに気づき、ゾムはAを後ろに引かせる。



zm「毒ガスや。あいつら毒撒きながら戦っとる」

『面倒なことするね』

自ら毒を撒いていくということは、向こうは恐らく対策されているのだろう。
一気に充満していく毒ガスは、部隊を包み込む。


zm「A、危険や。一旦下がろ」

『……』

zm「A？」

『いや、このまま戦おう』

zm「！？…はぁ！？」

Aが考えていることはゾムには分からない。


しかし、流石にこれだけは賛成出来なかった。
最悪、体に毒がまわって死んでしまう。


zm「死ぬわバカ！！流石に無理やって！！」

『いや、大丈夫』


＿やばい、ミシェルの呪いが…


zm「A…？」

『今、戻ったら……意識奪われる…』


呪われ掛けた時と同じ感覚、症状がAを襲う。

ミシェルの呪いが体に残っていたのか、完全回復していなかったのか、
呪いが脳を肺巡っている。

zm「顔色悪いで！？」

『いや、これ、毒じゃなくて、呪いだから…』


今、撤退したら……本部に近づくことになる。
つまり、Aとミシェルとの距離が縮まることになる。

そうなれば、呪いが本格的に進行するかもしれない。


『呪いは、元凶に近づけば近づく程、掛かりやすくなる…』

zm「で、でも…！」

『意識奪われたら、最後……だったら、毒耐えた方がマシ…』



















ms「クッソ……遠すぎるわ。これじゃあ力が上手く使えない」

その頃、ミシェルはAの体に残した呪いの一部を
上手く操れないかと、試行錯誤していた。


ms「Aさえ、呪えれば！操れれば！」


呪いの力は、その対象を視認しない限り発揮しない。
今のミシェルとAの距離では、視認どころか気配すら感じ取れない。



ms「……あはは、そうだ。良いこと思いついた」

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