蝕め、呪詛【d！】

No,20 ページ21

zm「A〜………」

『酔ってるね』

顔を真っ赤にさせたゾムがAに近寄る。
完全に酔っぱらいだ。

それはAも同じだった。


ゾム程酷くはないが、ほんのり頬が赤く染まっている。



zm「俺な、ずっと、思っててん」

『何を？』

酔っ払ったゾムは、もう幼い少年のようにAに甘える。


zm「Aの力に、少しでも、なりたいって」

『うん、いつも手伝ってくれてるじゃん』

zm「足りひんの」

弱い風が二人に吹き当たる。
ゾムのフードが丁度良く外れ、顔がよく見えた。




zm「俺な、Aのこと、大好きやねん」

『…！』

突然の告白にAは固まる。




zm「だから、ずっと側にいてな？いなくならんといて……？」

『……』

何を悟っているのか、不思議なことを言い出すゾムに、
Aは無言で答える。


『私はここにいる、ゾム』

zm「！……そっかぁ…安心やわ…」

ストンっとAの肩に頭を置くと、
ゾムはそのまま酔った勢いで寝てしまった。




『やれやれ……』


呆れたAは、眠ってしまったゾムの頭を撫でる。

いつもフードで隠れているその髪は、とてもサラサラしていた。


流石にゾムを担いで部屋までは連れて行けないと判断し、
Aは部屋の中に戻り、ゾムを自分のベッドに寝かせた。


『ゾム、あなたは本当に優秀だよ。人の中身までちゃんと見てる』


ベッドに腰を下ろし、ゾムを眺める。


『本当に、勘が鋭くて困っちゃう……』




ちらりと時計を見ると、11時を過ぎたところ。

明日もやることが沢山ある。

『もう、寝るか』


ベッドから離れたAは、簡易的なソファに寝転がり、目を閉じた。



Aが座っていた場所に水滴があったことは、
誰にも知られることは無いのだろう。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿







zm「A！？ちょ、風邪引くやん！？何してんの！？」

『…朝からうるさいな、なに？』


翌日、


昨晩の酒のせいで頭痛がするAは、
ゾムの大声で起こされ、苛立ちを覚える。

zm「何でそんなとこで寝てんねん！？」

『ゾムが寝たから』

zm「俺がソファで良かったやん！！」

『うるさい』


耳を手で塞ぎ、目を細めてゾムを見る。



『もっと静かに出来ないの？』

zm「す、すまん…」

『朝からそうやって私のしゃくに触るようなことしてくるんだ？』

zm「わ、悪かった……せやから、そんな目で見んといて」

Aの冷たい視線は絶対に浴びたくない。


怖い、と言うのもあるが、単純に冷酷な目で見られる立場になりたくない。





『ねぇ、昨日のこと覚えてる？』

zm「え？……全く、俺なんかしちゃった？」

『…じゃあ、いい』

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