桃春〜１番好きなもの〜 ページ19
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《you side》
「もうすぐ体育祭やなぁ」
『そーだね〜』
そんなどうでもいい会話をさっきから何回続けているだろうか。二回目か…？いや、三回・・・どうでもいいな。
ミンミンとセミの鳴き声が耳に届く。
私の相槌で会話は終わるとシーン…とした空気が再び。
あっつ…なんて言いながら汗を拭う隣に座ってるコイツは…幼馴染のロボロ。
身長低くて頑固者で声が良くて、優しくて。
家が近所で、幼稚園の頃からずっと一緒。
そんなロボロが私は好き。
だけどアピールなんてそこらの女子とは違って私にはできないし告白なんてものは考えても行動に移せず何回諦めたことか。
ロボロは私のことを好きか、なんて私には知る由もなかったしなんなら知らない。
『そっか…体育祭明後日か。ロボロ借り物競争出るんだっけ？』
「おん、せやけど。あんさんは応援団やったか？」
『うん。じゃあロボロのこと応援してるね』
「ん、ありがと」
そこでまた、私達の会話は途切れた。
おかしいな…今までこんなこと、全然なかったのに。暑さのせいで脳バグってるのかも。
『あ…そーいえば私友達に呼ばれてるんだった。じゃあねロボロ』
椅子から立ち上がり、ロボロにそう言って背を向ける。友達に呼ばれてる、なんて嘘をついて。なんで嘘をついたのか、それは私にも分からなかった。気付けば口がそう言っていた。
いつもなら手を振ったりとか、少し遠くから彼を眺めたりしたんだろうけど、この時の私はそんなことせずただ背を向けて歩いた。
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作者名：ラム猫。 x他6人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2022年8月20日 14時
