ハンカチとブラックコーヒー【伏黒恵】 (ページ3)

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ゴールデンウィーク最終日。

まだ少し残っている課題を終わらせようと、古民家のような小さなカフェに来ていた。

こじんまりとした独特な雰囲気があるこのお店は、私の親戚のおじさんが経営しているものだ。
なんでも、３代くらい続いているんだとか。

お正月。
酔っぱらったおじさんに「お前が継ぐか？」なんて絡まれたけど、そんな気はさらさらない。
このカフェを否定する気はないが、私は自分で決めた道を歩きたいんだ。

ちりんちりん、と店のドアが開き、取り付けられているベルが連動して音を鳴らす。

「おう、いらっしゃい＿＿ってこの前来てくれたお兄さんじゃないか！えっと、お名前……」

「伏黒です」

すうっと耳に入ってくる、凛とした声。
先日聞いたばかりの声。

反射的に、私はドアの方へ振り返ってしまった。

刹那、彼と目が合う。

「あ」

「え」

同時に声が漏れる。

偶然か。必然か。

私はハンカチを拾ってくれた彼と、再会したのだった。