青春の馬 3 (ページ50)

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加藤 side

無事にTGCも終わって、今からはバスに乗って帰る。

ししの隣に座ってる子は、窓に凭れて寝たフリをしてるんだよね。

本人は隠してるつもりだろうけど、時々嗚咽も聞こえるし、泣いてるってすぐに分かる。

確かに緊張してたっぽいけど、そこまで気にしなくていいのになぁ…

本人から話を聞くにもまだ無理そうだからそっと肩を摩って、Aが落ち着くのを待った。

Aは無理矢理慰めるより、こうやって気の済むまで泣かせてあげる方がいいんだ。

:

A 「ん〜っ…史帆ちゃんっ…」

「あー、擦っちゃだめ〜！としちゃんのハンカチ使いな？」

A 「うんっ…」

「としちゃんぎゅーってしてあげる！こうしたら誰にも見えないでしょ？」

しばらくすると顔を上げてくれたAだけど、目を思いっきり擦っちゃってた。

そうすると明日のお仕事に響くから、たまたまポケットに入ってたハンカチを渡す。

それに周りの目を気にしてるようだったから、ぎゅーして見えないようにしてあげた。

抑えきれてない嗚咽をずっと聞いてたら、なんかこっちまで泣きそうになってきた…

:

A 「上手く出来なかったっ…」

「大丈夫だよ〜。また次、一緒に頑張ればいいじゃん」

A 「それじゃだめなの…」

「なんで？」

A 「言われたから…」

「誰に？」

A 「…」

急に会話が止まったAの様子を見て、話が全部繋がった。

きっとエゴサしちゃったんだろうなぁ…

ネットに書かれた悪口って、書いた人が思ってる以上に言われた方は傷つくんだよね。

なら見なければいいじゃんって思うかもだけど、そんな上手くはいかない。

次は見返せられるように、一緒に頑張ろうね。