青春の馬 番外編

東京のお母さん ページ15

A 「え、ママも一緒に来るん？」


「当たり前でしょ？さすがに一人暮らしはだめ」


A 「仕事は？」


「辞めて、また新しいところを探す」


A 「A1人で大丈夫！」


「なに考えてんの？自分の言ってること分かってる？」


A 「分かってるわ！Aだってもう子供じゃないもん！」


「はぁ、学校も変わるんだよ？

1回しか来たことない東京でやって行けるわけないやん」


A 「大丈夫やってば！うるさいな」




ただ今、ママと絶賛喧嘩中です。

けやき坂に配属されて、上京して来るように偉い人から言われた。

ママは一緒に来る予定だったみたい。

私は今、パパとママとお姉ちゃんとの4人暮らし。

小学生の時にあれほど迷惑と心配をみんなにはかけてしまった。

そんな大好きな家族をバラバラにしたくないんだ。

ママもお仕事があるしね。

だから私は1人で頑張るって言ってるのに、ママは一向に私の意見を聞いてくれない。

私だってもう子供じゃないのに…






:






久美 「…A？」


A 「あ、久美さん…」




事務所でママと言い合ってると、なぜか佐々木久美さんが歩いて来られた。

私たちが言い合ってる理由を聞いて、何やら考えてるみたい。




久美 「お母さん、Aちゃんは私が育てます」


「……えっ？」


久美 「出来るだけAちゃんの負担を減らせるように、時間を見つけてAちゃんのお家に行きます。

だからお母さんは安心して送り出してあげてください」


「佐々木さんがそうしてくださるなら…

Aも頑張れる？甘えっぱなしは絶対にあかんで」


A 「…うん、頑張る！」


「じゃあそうして頂いてもいいですか？」


久美 「もちろんです！Aも安心しておいでね」


A 「…はい！」




久美さん、なんてかっこいい人なんだろう…

テレビで見てた通り、やっぱりすごい人だ。

久美さんのおかげで1人で上京する許しを貰えた。

でもママに言われた通り、甘えっぱなしはダメだもんね。

1人で出来ることは、絶対に自分でやらなきゃ。

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