一匹狼。【大谷翔平】

会って話したいな ページ34

月泉Aside


「んーまま、おきて！」


蒼汰にぐいぐいと服を引っ張られて目が覚めた。

私より先に蒼汰が起きるなんて初めてだな……。

そう思いながらスマホを見ると『10:35』と表示されていた。


「嘘！？」


普段はこんな時間に起きることなんてない。

アラームセットし忘れたのかな……。

作り置きのご飯を温めている間に蒼汰の服を準備する。


「蒼汰〜お着替えしてね」

「はぁい」


ピーピーとキッチンから音がする。

温めたものを出して少し冷ましている間にテーブルを拭く。

蒼汰は猫舌で、熱いものが苦手だ。

拭き終わったらおかずをテーブルに並べ、箸と白米、味噌汁も並べる。


「いただきます！」

「はい、めしあがれ」


蒼汰はご飯を口に入れると「おいち」と言ってほっぺに小さな手を当てた。

何かのアニメの真似でもしているのだろうか。可愛い。

30分ほどかけてご飯を食べ終わると、私はお皿を食洗器にかけた。

蒼汰の人形遊びを見守りながらLINEの返信をする。

お母さんたちには、本当のことを言った方がいいかな。

文面で言うより、ちゃんと会って話したいな。


『お母さん。そのことについてはちゃんと会って話したいんだけど、いつ空いてるかな』


程なくして返信が来た。


『いつでも平気よ。なんなら今でも』


お母さんがそんなふうに言う時は今すぐに来てほしい時だ。

じゃあ今から向かうね、と送って私は蒼汰に声をかけた。


「蒼汰、今からお出かけするから、お片付けして」

「……？はぁい」


私の準備が終わった時、蒼汰は片付けも準備も終わらせて、靴まで履いていた。

蒼汰を後ろのチャイルドシートに乗せて、車を走らせる。

30分ほどで実家に着いた。

蒼汰を左手で抱いて、私はドキドキしながらインターホンを押した。

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