嗤ってよ ページ24
月泉Aside
ホテルに戻ってから、大谷さんに部屋に来てほしいと言われた。
やっぱり、怖かった。
きっと二人きりだ。
返答に困っていると、源田さんと一緒に、と言われた。
ゲンさんと一緒なら、平気かもしれない。
ゲンさんを呼んで、一緒に大谷さんの部屋に向かった。
私とゲンさんが隣同士で、大谷さんが向かい側に座る。
沈黙が流れる。
それを破ったのは、大谷さんだった。
「Aちゃん、俺は栗山監督からこう言われたんだ。
『月泉に何があったか、聞いてくれないか』って。
言いたくなかったら言わなくてもいい。
でも言ってくれたら、俺は最大限の配慮をするって約束するよ」
そう言いながら大谷さんはおそらく無意識に口元や喉元をさすった。
これは嘘をついている人のサインだ。
どれが嘘なのかはわからない。
けど、大事なのはそこじゃない。
嘘をついて私から何か聞き出そうって言うの？
言っちゃだめだ、と思いながら私は口を開いてしまった。
「最大限の配慮って、何ですか？
もし私が一人にさせてほしいって言ったらそうしてくれるんですか？
二度と話しかけるなって言ったら話しかけないでいてくれるんですか？
……、口だけなら、なんとでも言えるんだよ」
慌てて口を押さえ、俯く。
言ってしまった……。
「Aちゃん、いいよ。一人になって落ち着こう」
ゲンさんが言う。
腰を浮かせたのが音で分かる。
その時、私は閃いた。
「Aちゃん？」
「じゃあ教えます」
「「……え？」」
顔を上げ、立ち上がる。
「中学校と高校で、人間関係のトラブルがあった。ただそれだけです。
……、満足しましたか？これで栗山監督にも報告できますね」
栗山監督にも報告できますね、と言った途端大谷さんはびくっとして私から顔を背けた。
ああ、そうか、と思って私は、まあ、嘘でしょうけど、と付け足す。
私はすぐに身を翻し、部屋から出た。
「Aちゃん？」
「あれでいいんですよ」
あれでいい。
そんなことで？と思えばいい。
呆れてしまえばいい。
くだらない理由だなって
嗤ってよ。
そして、
二度と話しかけてくるな。
そうだ。いつもこうして、
助けてくれる人を突き放している。
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月冴-tsukasa-(プロフ) - suzunoさん» ありがとうごさいます！早めに更新できるように頑張ります💪 (8月3日 15時) (
レス) id: 74601cbb5c (このIDを非表示/違反報告)
suzuno - めっちゃ面白くて好きです！ 更新頑張ってください！楽しみにしています！ (8月2日 23時) (レス) @page33 id: c12e1694ff (このIDを非表示/違反報告)
月冴-tsukasa-(プロフ) - ゆいかさん» ありがとうございます！面白いなんて言われたの久しぶりです！更新頑張りますね！ (2023年4月13日 7時) (レス) id: 74601cbb5c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - お話しめちゃ面白くて好きです！更新楽しみにしてます！＾＾ (2023年4月12日 23時) (レス) id: d180a4fed0 (このIDを非表示/違反報告)
bs - 月冴-tsukasa-さん» 無理せず頑張ってください！ (2023年4月6日 16時) (レス) id: 9bc49afac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月冴-tsukasa- | 作成日時：2023年3月29日 17時
