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春の大会は県大会の準決勝で敗退。
私たちに残されたのは夏の大会だけになった。
毎日泥まみれになって練習した。
雨の日は校舎内で走ったり筋トレしたり。
その疲れか授業中はみんなほとんど寝ている。
私は時々舟をこぎながら授業を受ける。
「三日月、起きろ」
「……はい」
バレちゃった。
夏の大会が始まった。
夏の強い日差しがジリジリと肌を焼く。
日焼け止め、ちゃんと塗っとかなきゃ……。
打率は四割超え。
盗塁も決める。
守備では強肩を見せつけた。
メディアの注目も集まっているらしい。
順調に勝ち進んでついに決勝。
これに勝てば甲子園。
さすがの私も眠れなくなった。
ふとスマホを開くと、私に関するニュースが流れてきた。
『いじめからの復活』か……。
記事には勝手な解釈がさも本当かのように書かれていた。
『甲子園出場のためかつて自分をいじめた相手と協力し……』
違う。
『勝利のために力を合わせ……』
違う。
『同じ夢を持つ友として……』
違う、違う、違う。
私はそんなご立派なことはかんがえちゃいない。
あいつらに向けて思っているのは、憎悪だけ。
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作者名:月冴-tsukasa- | 作成日時:2023年3月22日 1時