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学校に行き始めて少し。
雪が降り始めた。
寒い。
死にたい。
その時親は少しずつ、制限を緩和させていっていた。
夜の帰り道。
昨日までは迎えがあったけど、今日からはない。
踏切が鳴って、バーが下りる。
ふと思い立って、バーに手をかけた。
「あっ、あの!」
驚いた。
普段人はいないはず。
振り返ると、私の高校とは違う、関根学園のユニフォームを着た男子がいた。
「あ、ぶない、ですよ……?」
ああ、もっと周りを見ておくべきだった。
なんて思っていると、男子は言った。
「僕、あなたのこと、知ってます……!
女子で、すごい野球を頑張ってるって……、
あと、あれのことも……」
あれ、というのは飛び降りの事だろう。
別の学校の人も知っているなんて。
「いじめのことも、知ってます……。
生きるのがつらいんだろうなぁとも、思ってます。
あ、不快でした?」
私は首を横に振った。
電車が来た。
「あ、はい。
えと、生きるのがつらいんだろうなって、思ってます。
でも、そうやって野球を続けてるってことは、その、
野球をやり続けたいってことじゃないんですか?」
野球には、辛い思い出のほうが多い。
けど、野球をやり続けたいというのは、本心だ。
私は首を縦に振った。
「……知ってますか?
来年から、女性選手もプロ野球選手になれるらしいですよ。
僕、プロ目指してるんです。
一緒に……頑張りませんか?
……あ!す、すみません変なこと言って。
ではっ!」
男子は文字通り風のように去っていった。
「一緒に……頑張りませんか?」
その言葉がずっと耳に残った。
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月星葵(プロフ) - 葵音!ありがとう!! (2023年1月7日 20時) (レス) id: faee0afbe9 (このIDを非表示/違反報告)
葵音-aoto-(プロフ) - まさかああなるとは・・・・・・いい意味で裏切られた! (2023年1月7日 20時) (レス) @page48 id: d9cc2f2620 (このIDを非表示/違反報告)
月星葵(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!更新頻度は最初に比べて遅いですが、頑張ります! (2022年11月29日 21時) (レス) id: faee0afbe9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます! (2022年11月29日 19時) (レス) id: d9e0e07b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月冴-tsukasa- | 作成日時:2022年11月9日 0時