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春季キャンプが始まった。
普段なら1軍のキャンプに一緒に行かせてもらっている綾瀬さんが、今年は所沢に残ったらしい。
それが私のためだって、すぐに分かった。
綾瀬さんは毎日面会に来てくれた。
それは嬉しかったけど、どこか申し訳なかった。
「綾瀬、さん……すみません……」
「何で謝るの!私が残りたいから残ったの!だから謝んない!」
元気づけようとしてくれているんだろうけど、そういわれると余計に申し訳なくなってくる。
本当に、ごめんなさい。
夜になると、電話がかかってくる。
夏央くんからの電話だ。
夏央くんと話すと、なぜか自分が病気であることさえ忘れて、安心できる。
夏央くんは最後に絶対、言うことがある。
「ね、病気治ったらまた、一緒に1軍で活躍できるように頑張ろ。
僕、待ってるからね」
そういわれるたびに、現実に引き戻されて夏央くんに2つの隠し事をしている申し訳なさと
罪悪感に襲われて、泣きそうになる。
ごめんごめんごめん。
家族も、毎日連絡をくれる。
碧斗はプロに復帰できる可能性が低いってことを知ってるから、
そこには触れないでいてくれる。
まだ小4なのに、そんな気遣いをさせてしまって申し訳なくなる。
もとから思考はネガティブだったけど、この病気になって、入院して、さらにネガティブになった。
手術の事も家族を交えて相談したりした。
成功率とか、その後のことを教えてもらって、私は手術を拒んだ。
その手術は、失敗すれば命の危険さえあるものだった。
それで命を落とすより、病気で命を落とした方がましだ。
そう思った。
そして、私の病気は、少しずつ悪化していった。
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月星葵(プロフ) - 葵音!ありがとう!! (2023年1月7日 20時) (レス) id: faee0afbe9 (このIDを非表示/違反報告)
葵音-aoto-(プロフ) - まさかああなるとは・・・・・・いい意味で裏切られた! (2023年1月7日 20時) (レス) @page48 id: d9cc2f2620 (このIDを非表示/違反報告)
月星葵(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!更新頻度は最初に比べて遅いですが、頑張ります! (2022年11月29日 21時) (レス) id: faee0afbe9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます! (2022年11月29日 19時) (レス) id: d9e0e07b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月冴-tsukasa- | 作成日時:2022年11月9日 0時