君に出会えて【滝澤夏央】

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最近変わったこと。

若林さんが、よく話しかけてくるようになったこと。

そして、

夏央くんが話しかけてくる回数が減ったこと。

話しかけてくるのは連絡事項とかがあった時だけでそれ以外の時は避けられる。

嫌われちゃったのかな……。

多分、そうだ。

無表情だし、

上手く話せないし、

気を遣えないし。

と、自分の悪いところがたくさん浮かんできて自己嫌悪に陥る。

嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。

自分自身が、嫌い。

手首を切った。

血が出てくる。

何本も線が付いた。

痛みは感じなかった。

完全に、無、だった。

電気もつけていなくてカーテンも閉めているから部屋は昼間なのに暗い。

その時、コンコン、と戸がたたかれる音がした。

まずい。

カッターなどを片付けて袖で手首を隠す。

カーテンを開けて電気をつけた。

ドアを開けると、若林さんが立っていた。


「なん、ですか」

「夏央と喧嘩でもしたの」


単刀直入に聞かれた。


「……してないです」

「ふぅん」


若林さんは意味深に笑った。

そして私に一歩近づいた。

反射的に私は一歩下がってしまう。


「夏央の事、どう思ってんの」


尋問するような口調だった。

それに気圧されないように私は言った。


「別に、なんとも思ってないです」


若林さんはそれを聞いてニヤッと笑うと、ばいばいと手を振って自分の部屋に帰った。

なんだったんだ。

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