Trifling 10 ページ12
・
電話を終えたミコトは、六郎にそう言った。
ミ「中堂さん来てくれるって。
法医解剖医2人の知恵が合わされば
解決できる案件は倍以上。
あぁ、…Aちゃんも来たら…、
あっ、何でもないない!」
すぐ口から出てしまうAの秘密を、
ミコトは慌てて飲み込んだ。
六「ミコトさんって、」
ミ「ん?」
六「あの、中堂さんのこと…
どう思ってるんですか?」
ミ「え?」
六「8年前、中堂さんが恋人殺したって話。
もし本当なら…」
ミ「殺してないよ」
ミコトは、六郎に被せるようにして答えた。
その力強い声に、動揺する六郎。
六「も、もしもの話で、」
ミ「ねぇ、その話どこで聞いたの?」
六「父親の病院の関係で」
ミ「無責任な噂だよ。
中堂さんは彼女の死に罪悪感を感じてる」
六「罪悪感…?」
ミ「生存者の罪悪感。
家族が災害で亡くなったり、
悲しい事件に巻き込まれた人が感じてしまう。
亡くなった人と、自分を分けたものは何なのか。
どうして自分だけが生きているのか」
ミコトの言葉には、信憑性があった。
経験者だからだろうか。
ミ「中堂さん言ってた。
殺した奴は殺される覚悟するべきだって。
意味分かる?
あの人は、犯人を見つけ出して殺すつもり。
私は、それを止めたい」
でもミコトは、罪悪感に負けなかった。
中堂にだって負けてほしくない。そう願う。
秋「分かったよ。話聞けた」
秋彦がYの痣のことを聞いてきてくれた。
ミ「えっと、なんだって?あの背中の痣」
秋「横山くん自身が
いじめを訴えたことはあったみたい」
学校は、その事実を知っていたのにも関わらず、
事態は何も変わらなかった。
・
207人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チコ | 作成日時:2018年8月8日 20時