philosophical 14 ページ16
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南「あれ、どうしました?」
中堂が黙って葬儀会場に入ると、
木林が声をかけた。
系「遺体の搬送を頼みたい。
金はいくらでも出す」
南「いくらでも?」
お金には目がない木林だったが、
それには少し戸惑ったようだ。
系「あぁ。正確には搬送と、火葬だ」
中堂は木林にメモを渡す。
南「ご遺体はどちらに?」
系「まだ生きてる」
木林はその言葉に全てを悟り、中堂をじっと見つめる。
南「Aさんには、言ってるんです?」
系「…さぁな。
…明日の夜、そこへ来てくれ」
木林はあのパカパカサングラスを下ろすと、
不敵に笑った。
中堂が出て行ったのを見て、携帯を手に取る。
南「はーい、木林です。 」
矢『私。
系さん、そっち行った?』
南「あぁ、来たよ。どうかした?」
矢『いや、何もない。ごめんね、こんな遅くに』
Aの声に、どこか儚さを感じる。
南「何か、隠してる?」
矢『…南雲、ずっと協力してくれて ありがとう』
南「ええ」
矢『南雲には先に言っておきたいことがあって』
そんな前置きの後、Aは手短に用件を伝えた。
南「…そう。
…皆さんには…全て終わってからの方がいいだろうね」
矢『うん。
…すっごい寂しいけどね?
私がいたら、皆を傷つけるから。
南雲には、何回も危険な目に合わせた。
ほんと、ごめんね』
木林は、彼女の声が震えていることに気付いていた。
南「私は…あなたに生きていて欲しい。
本当の笑顔を見せて欲しい。
あなただけは、前を向いていて欲しいと」
矢『…うん、』
南「Aは、私や中堂さんの光だよ」
矢『何言ってんの…。…違うよ』
今すぐにでも、Aのそばに行ってやりたかった。
だが、そんなことは叶わない。
矢『じゃあ…元気でね』
南「また落ち着いたら連絡して」
矢『ふふ。おやすみ』
Aは、
否定も、
勿論肯定も、しなかった。
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (8月21日 20時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 私も続きが気になります(><)面白くて一気読みしました!くっつくの楽しみにしてます!! (2018年9月12日 21時) (レス) id: ccca1c1412 (このIDを非表示/違反報告)
チコ(プロフ) - Yuriさん» ありがとうございます!はい、只今下書き中です!ただ、まだ時間がかかると思われます…すみませんm(_ _)m (2018年9月10日 6時) (レス) id: 28285d67bb (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいていました!主人公ちゃんが帰ってきた時の話を読みたいです!!ご検討いただけますか? (2018年9月9日 21時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
チコ(プロフ) - いつさん» コメントありがとうございます!ありますよね、突然。分かります(笑) 1話1話がまぁまぁ長いので一気読みは大変だったと思いますが…嬉しいです、ありがとうございました! (2018年9月9日 6時) (レス) id: 28285d67bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チコ | 作成日時:2018年9月6日 19時