すしらーめん《りく》 隣の部屋のあの人

暑い、熱い、夏。 ページ6

あなた「あっッッつ…」
私は今、すっかり夏らしくなってしまった真っ青な快晴の下、
大学から帰るところ。

大学も夏休みといえどこの前の課題の提出と、
どうしても参加したい絵のコンクールがあり、出かけざるを得なかったのだ。
問題なく提出して、涼しかった大学を出たところだ。
文句の１つや２つ言うくらい構わないだろう。

いつもなら自転車で通り過ぎる公園をつっきて歩く。
自転車の方が断然楽なのはもちろんわかってはいるけど、
自転車はサドルが暑すぎて諦めた。

あなた「なんか買ってこうかなぁ」
と、自販機を探そうとすると、どこからか声をかけられた。
りく「Aさーん」
あなた「堀内君！」
少し先で大きく手を振る堀内君。
慌てて辺りを見回すけど、
いるのはお散歩中のおじいちゃんおばあちゃんだけで、少し安心する。

小走りで堀内君の方へ向かうと、
撮影終わりなのか見慣れたロケットの残骸がたくさん散らばっている。
あなた「わーあ、派手にやってるねぇ笑」
りく「これから片付けですー笑 Aさんは…？」
あなた「大学の帰りー」
りく「せ、せっかくだし一緒に帰りませんか？」
あなた「もちろんいいよー、片付けすぐ終わる？」
りく「ああっ、すぐ、終わらせるんでっ」
あなた「そう言うことじゃなくて笑 手伝おうか？って話。」
りく「いやいや、その辺で休んでてください！なんか…疲れてるみたいだし。」

あなた「え？」
確かにここ最近溜めていた課題を一気に終わらせたり、
コンクール用の絵を遅くまで描いたりしてたけど、まさかそんなに顔に出てたのか…
あなた「じゃー、お言葉に甘えようかな笑」
そう言い、近くの木陰に避難笑

案外広範囲に広がったロケットの残骸をせわしなく回収する堀内君を眺める。
疲れに気づいてくれたことが嬉しいなんていうのはちょっとした間違いだ。
暑すぎて頭が誤作動を起こしたということにして、
夏特有の強い日差しに目を細めた。

りく「やっっと終わったー」
あなた「お疲れ様笑」
りく「あ、喉乾いてませんか？ どーぞ。」
差し出されたのはペットボトルのスポーツドリンク。

あなた「爆発とか…笑」
りく「そんなことしませんよ笑笑」
あなた「じゃあ喜んで笑笑」
安心して飲み始めると、
りく「でもそれ、俺の飲みかけです笑」
あなた「へ……？」
りく「冗談ですよ笑笑」
あなた「ちょ、は、もう、やめてよ！びっくりした…」
りく「えへへ笑」

頰がやけに熱いのは夏が、暑すぎるせいだ。
夏の、せいだよ。

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