すしらーめん《りく》 隣の部屋のあの人

住む世界と年齢差。 ページ25

りく「Aさん、
今度俺の学校でハロウィンがテーマの文化祭やるんできてください！！」
と、言われてきたものの。
人多っ…。
そして呼び込みに怯える２０歳(女)。
りく君何組なのかさえ聞くの忘れるっていうね…。

それにしてもみんな仮装してるし凝ってるなぁ。
女子は可愛いし男子はかっこいい。
文化祭はそこまで思い出がない(友達がいなかったことを忘れてはならない)けど、
みんなすごく楽しそうで、ちょっと羨ましい。

午前中は演劇を１つ見て、長い間バンドの演奏を聴いた。
吹奏楽もなかなか立派で、聴き入っていたらお腹が空いていた。

お昼は食堂に生徒たちが作ったものが食券制で売っていて、長蛇の列にならんだ。

何気なくりく君を探しては見たけど、見つからなかった。

食堂を出たところで、魔女の格好をした可愛い女の子が飴やチョコを配っていて、
ちょっとキョドり気味だったわたしにも笑顔でえらばせてくれた。
チョコを貰って、午後はどうしようかと散策に歩き出すと、小さな人だかり。

もしやりく君？と近づくと、あたり。
外から来た人はちゃんと遠慮してるっぽくてちょっと遠くから眺めてた。
仮装もしてるしおそらくりく君の同級生。
話し声が聞こえる。
少しだけ、少しだけ。
ほんのちょっと気になったしまったのがいけなかったんだ。

女子「すしらー今日こそわたしと回ろうよ！」
りく「んー、」
女子2「えー、あたしも堀内と回りたいしっ」
りく「いや、だから…」
女子「なにか用事でもあるの？」
りく「知り合いが来るはずなんだよね、今日。」
女子2「でもリスナーさんいるし結局会えなくない？もうよくない？？」
りく「う…」
女子「会おうって約束はしてないんでしょ？なら、いいんじゃない、かな。」
りく「うーーん……」

あぁ、これは…。
ため息をついて来た方向を戻る。
可愛い仮装をしたあの子達は腕なんか揺れたらくっついてしまいそうなほど近くにいて。
あの子達はりく君よりずいぶん小さくて、見上げているような構図。
わたしならありえない構図で、はたから見てもお似合いだ。
住む世界が、違う。
そんなことわかりきったつもりでいたのに。
たった3歳の差が、現実を突き詰める。

りく君が、同級生だったらよかったのに。
思いたくなかった言葉が浮かんで来て、必死で首を振った。
わかってる。わかってるよ、この差のおかげで私たちは仲良くなった。
知ってる。

…りく君には会わずに、素早く退却した。

可愛いおばけ。→←紅降る中。

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