ごつかみ ページ14
おい───、聞───こちらを────
不愉快な音だ。声にならない音だ。中途半端な音だ。だから気にする必要は無い。気にする必要は……
関こてえいる──聞えこているだろう？阿の間題も無く、聞こてえいるはずだ。
聞こえるものか、何も聞こえるものか。俺の中には俺しかいない。だから、何も聞こえるものか。
もういい、ならば俺が騰手に話そう。お前の中の俺が話そう。よく聞んくだぞ？
高圧的な言葉も、ノイズのかかった低音も、全て全て気のせいだ。満月の魅せる幻惑だ。
なんだ、聞えこているではないか。警かせおって。俺が何者なのか、わっかていんるだろう？
黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ！俺は一人だ、俺は俺なんだ、お前なんか知らない！
そう恕るでない。そう糾けぶでない。そう杭うでない。お煎が宰いだけだ。
ノイズはゆっくりと大きくなる。それは、自我の喪失を示していた。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！
嗚呼、我が愛し子よ。怖くは無いぞ。お前の敵は、俺が屠ろう。お前の敵は、俺が喰らい尽くそう。すぐに、楽にしてやろうな。
少年の手は、毛むくじゃらになった。少年の声は、低くかさついていた。少年の耳は、まるで獣のよう。少年の意思は、もうどこにも無い。
毛むくじゃらの手は、自らの体をそっと抱きしめる。愛おしそうに、掻き抱く。しばらくすると、そっと天を仰いだ。
ウォ──ォオオ───オォン─────
獣の声が、木霊する。満月の夜に、木霊する。
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月下/苦しむ/腕の中
いじめられっ子な狼少年と、それを救いたい狼の話。満月の夜だけ狼になり、自らの意志と関係なく、敵を排除する。
ちなみに狼の声の誤字脱字オンパレードはわざとです。ノイズの表現のつもりでしたが、わかりにくいですね……反省。
次回！
「いじめられっ子の部屋」「おもちゃの虫を置こう」
の2本でお送りします、お楽しみに！(続きません)
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スピカ(プロフ) - あの作品…とても良いとは思っていたけどこんな風に小説化するとは…語彙力高い！ (2019年11月12日 10時) (
レス) id: 107a705257 (このIDを非表示/違反報告)
冴(プロフ) - なんか……素敵！どこがいいとは言えないです語彙力よ来い。面白いので頑張って下さい！ (2019年10月27日 18時) (レス) id: cd880b444a (このIDを非表示/違反報告)
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