正夢～現実世界での俺ら～ (ページ9)

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☆ ページ9

「あー、あかんなぁ...」

こんな暗い気持ちじゃあ、大倉のとこに戻ったって楽しめるはずがない。

ポケットからスマホを取り出して電話をかける。

「...もしもし、」

「りょーちゃん‼いま、どこにおるん⁉」

「駅前の自動販売機のとこ。」

「もー、待っとって。すぐ行くから。」

「いや、ええよ。俺、帰るから。」

「え、なんで急に⁉」

「それは...」

話し出そうとすると、スマホの奥から甘い女の声。

「おおくらくーん、相手が来ないって言ってるんだからいいでしょー。」

「ええわけないやん‼ごめん、すぐ行くからっ‼」

「いや、ホンマにもうええから。」

「りょっ...」

続きが聞きたくなくて俺はスマホを切った。

こんなの、最低やろうな。。。

大倉からしてみれば、勝手に飲み物買いに行って勝手に不機嫌になって。
最低の友達に決まっとる。

今思うと、日直になったあの日俺が練習しとる大倉さえ見なければこんなことにならへんかったのかな、なんて。

「こんなに辛い気持ちになるなんて、知らへんかったっ、、」

ダムが決壊したように嗚咽と涙が溢れ出てくる。

涙で視界が滲むなか、もう大倉への想いは胸にしまおうと心に誓った。