夕凪を忘れた頃に (ページ8)

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締めのうどんまで食べて、みんなでテレビを見る。
1話だけ見てそれ以降はチェックしていなかったサスペンスドラマはかなり大詰めを迎えていたようだ。

「Aって西高？」

どこからかわたしの卒業アルバムを持ってきた樹が興味津々で開いている。今いい所なのになんで邪魔をするんだ。

「たしか京本とA同級生だったんだよね？」

「まあ」

「えっ！？きょもも西高？俺北高なんだけど！」

「俺、藤高だったよ！」

「ジェシー藤高なのか！めっちゃ近くにいんじゃん！」

樹は出身校が近くだったことが嬉しいのか、テンションが上がっていた。たしかにわたしと京本の出身校である西高と北高は殆ど隣と言ってもいいくらい近くにあったし、ジェシーくんの藤高は二駅ほどしか離れていない。

「Aの実家どこ？」

「藤高の辺。歩いて15分くらいかな」

「マジか〜！Aちゃんと会ってたかもね」

「その辺なら全然大学通えるのになんで一人暮らししてんの？」

樹からの何気ない質問にドキッとする。
実家から大学まで電車で30分ほどの距離なのに実家暮らしではないのだから、疑問を持つのも当然だ。

「あー、わたし生活力ないからさ。
ほら、実家東京だと一人暮らしするタイミング無くない？だから大学生のうちに生活力養おうと思って」

「まあな〜。一人暮らしって憧れるけど大変そうだもんな」

「樹多分無理でしょ」

「ちゃんと一人で生きてる慎太郎に言われると何も言えないわ」

あ、犯人もうわかっちゃったの？なんで？動機は？
知らないうちにドラマは山場を迎えていて、犯人がパトカーに乗り込んでいる所だった。

京本とサキちゃんはテレビに釘付けだったから、あとで二人から展開を聞こうと思っていると、ジェシーくんが「これAちゃんときょも？」と懐かしい写真を指さした。

「うん。修学旅行の写真だね」

「うわ！きょもちゃんと髪黒いね〜」

「Aときょもと、だれ？」

「幼なじみ」

修学旅行先の京都で京本とわたしと幼なじみがうつる写真。久しぶりに見たせいか京本もわたしも随分若く感じる。
懐かしく感じて卒業アルバムをどんどんめくると、クラスの集合写真や体育祭、文化祭の写真が出てきた。
あ、こーち女装してる。これめっちゃ笑ったな。

「すげ、どの写真でもAと京本と幼なじみ一緒にいんじゃん。仲良いな〜」

京本は一瞬わたしの方を見てから「Aがついてくるだけ」とぶっきらぼうに言った。

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