夕凪を忘れた頃に (ページ4)

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帰り際、連絡先教えて？とまだ引かない栗原くんに「ごめん、連絡されても多分返さないから」と断ってスッキリした気持ちで解散する。

帰ろうとしている樹を捕まえてじっと見つめると首を傾げて何か？と言った表情。こいつ、絶対忘れたフリしてる！

「樹、アイス」

「覚えてた？」

「うん」

忘れてよ〜と項垂れる樹にサキちゃんが「アイス！？」と反応する。その声にジェシーくんが反応し、京本、慎太郎くんと伝染していく。

「いいじゃん！アイス食おうよ！」

「俺もアイス食べたい」

「じゃあコンビニ行こうぜ」

京本に甘い樹には京本を味方につければこっちのものだ。飲み会に来ていた何人かと別れて、まだ蒸し暑い夜中に樹、京本、ジェシーくん、慎太郎くん、サキちゃん、わたしのメンバーでコンビニへ向かう。

「てかさあ、Aちゃん栗原にめっちゃマークされてたね」

樹にガリガリくんを渡して外で待っていると、先に出ていたジェシーくんに話しかけられる。
サキちゃんもニヤニヤしながら「されてたねえ」と言う。
京本は先にハーゲンダッツを食べていた。

「Aちゃん的にはどうなの？」

「え、栗原くん？」

「うん」

「えー、チャラかった」

「ぶはは！樹より？」

「そりゃ、樹には負けるでしょ」

「おいおい、聞き捨てならねぇな」

コンビニから樹と慎太郎くんが出てきて全員揃う。
チャラいの代表と言ったら樹でしょ、と思いながらじゅったんと呼ぶと、「なーに？」と語尾にハートマークが付きそうな勢いで返してきた。

「つーかAの恋愛の話全然聞かないわ」

「確かに〜」

樹とサキちゃんが彼氏作ればいいのにねなんて言っている間にガリガリくんを食べる。
うん、美味しい。

恋なんて、あの時から考えたことなかったや。
心配そうな表情をした京本と目が合う。ハーゲンダッツを食べる手が止まっている。

「もうねぇ、恋はいいや」

ぼうっと遠くを見ると慎太郎くんと目があった気がした。一瞬だけ、でも変に長く感じた。茶色くて大きな瞳がとても綺麗だった。

「A、樹にハーゲンダッツ買って貰えば良かったのに」

「樹のお財布これ以上泣かせたら後が怖いよ」

わざと話題を変えてくれたのか、それともいつも通りのマイペースなのかは分からないけれど、普通に返事をしたわたしに京本は安心したように笑った。

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