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「美味しかった〜！俺いつも唐揚げ定食ばっか食べてるわ」
無事に食べたかったハンバーグを食べ終えて、わたしも慎太郎くんもご満悦。随分ハンバーグを気に入ってくれたみたいで、口に入れるたびに「うま！」ってリアクションをしていて面白かった。
「あ、そういえば慎太郎くんってこの前見た映画の監督の作品好き？」
「好き好き！俺アクション映画好きだから、あの監督の作品よく見るよ」
「わたしも好きでDVDとか集めてるんだけど、この作品見た？」
「これ見てないんだよね。受験勉強してるときにやっててさあ〜」
スマホで映画を検索して画面を見せると慎太郎くんは眉を下げて残念そうな顔をする。
その映画は3年前くらいの映画で、今回の作品のシリーズではないものの、少しテイストの似ている人気作品だった。わたしも受験の時期で映画館で見ることはできなかったが、大学生になってすぐDVDを購入した。
「実はこの作品に今回の伏線あったっぽいんだよね」
「え！？まじ！？」
「うん、この前ネットで盛り上がってて」
「うわ、それ絶対見なきゃいけないやつじゃん！」
慎太郎くんは凄く興奮していて「どの辺が？あっ、待って、その作品見てからの方がいいよね！？まだ言わないで！」とひとりで喋り続けている。その様子が面白くてちょっと笑う。
考えてた誘い文句通りに会話を進めているから、実はさっきから緊張していた。慎太郎くんは気がついてないと思うけど。
「でさ、その、うちにDVDあってさ。
…丁度見返したいなーと思ってたから、よかったら一緒に見ない？」
さっきよりも小さい声でそう言うと、慎太郎くんの反応が気になりつつもドキドキして顔を見れない。今見なくてもいいのに自分の手のささくれを気にしてしまう。
「え？いいの？」
返ってきた言葉はいつもみたいな元気な感じじゃなくて、ちょっと気が抜けた感じだった。
ちらっと前を見ると、慎太郎くんは目をまん丸にしている。
「あ、その、慎太郎くんがよければ」
「俺はAちゃんがよければ」
「全然オッケー」
わたしがそう言うと、お互い顔を見合わせて笑い出す。やったよ、ジェシーくん！
「じゃあいつ空いてるか教えて？」
「うん」
何となく甘い空気。
これをもし樹が見てたら茶化してくるんだろうな。サキちゃんはギョッとした目で見てくるかもしれない。京本ならこの空気を感じ取らないかも。
北斗は、今のわたしたちを見てどう思うのかな。
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作者名：誠沙 | 作成日時：2021年10月9日 0時
