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―side change
「…上田が何考えてるのか分かんない」
不満そうに呟いた羽生はお茶を一気飲みして少し音を大きく立ててグラスをテーブルにおいて、小さな子供がいじけたようにベッドに潜り込んだ。
これ羽生だから可愛いと許される行為で、20歳前の男の子がそんなことしたら普通は呆れる。
「…羽生のお母さんが作るご飯は何でも美味しいね〜。」
わざといじける羽生をスルーして別の話題をふる。すると羽生はちょこっと顔を布団から覗かせて私をじっと見る。
そんな様子がとても可愛くて、私はにやけそうになり唇をギュッと噛んで痛みを感じてどうにか堪える。
「…何?羽生拗ねてる?」
私がそう言うと羽生は布団の中で、んーっと考え込む
一体何を考え込んでいるんだろう。
そう思っていると羽生は綺麗な人形のように整った口を開く
「…なんかここ1週間どれが夢で現実か分からない。」
羽生の言う“どれ”って言うのが私には理解出来ない。どれってどれ?って感じ。
「…羽生が中国杯の前日の夜に無防備な私に意地悪してキスしたのは現実だよ」
まず初めにそのことを言うと羽生はバツが悪そうな顔をした後すぐに申し訳なさそうな顔になる。そんな顔するぐらいなら最初からしなかったらよかったのに…
なんて思うけど年頃の男の子にはいろいろあるのだろう。羽生だって男の子だし
「あと中国杯の結果が2位だったのも現実」
あえて衝突のことについては触れない
羽生にとって軽くトラウマだっただろうから
「…あと私が羽生のこと好きっていうのも現実」
私がそう言うと羽生は一瞬私から目を逸らす。
私は逸らさずじっと見つめた。
すると羽生ももう一度私に視線を合わせた。
じっとしている羽生にそっと近づき、ベッドに手を置く。私の体重で少しベッドが沈んだ。
しばらくもどかしい距離感で見つめあった後に私はそっと羽生にキスをした。
唇を離し目を開けると羽生は眠気があるようなまどろんだ瞳で私を見ていた。
その瞳が綺麗でずっと見ていたい。
私がじっと見つめていると羽生は私の頬に両手を滑らせてちゅっとリップ音を立てて短くキスをした後にもう一度ゆっくりキスをする。
そんな優しいキスはドキドキするけど心地いいというか…。思わずもっとって思ってしまうほど。
「上田…」
愛おしそうに私を呼ぶ羽生。
すごく聞き心地がいい
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星奈子(プロフ) - はるすけさん» はるすけさんコメントありがとうございます!褒めていただけて嬉しいです(*^^*)これからも更新していきますのでぜひまた読みにいらしてください(^^)! (2016年4月25日 7時) (レス) id: cef4b70ce1 (このIDを非表示/違反報告)
はるすけ(プロフ) - 凄く面白くてドキドキしました。続きが気になります! (2016年4月23日 22時) (レス) id: 0afe61d9c2 (このIDを非表示/違反報告)
星奈子(プロフ) - 智枝さん» 智枝さんコメントありがとうございます!笑っ そのじれったさがなんともいえないんですよね~!笑っまたぜひ読みにいらしてください! (2016年3月15日 21時) (レス) id: b27b6b9bf6 (このIDを非表示/違反報告)
星奈子(プロフ) - 鹿さん» 鹿さんコメントありがとうございます!そう言っていただけるととても励みになります!これからも楽しんでいただけるような作品にしたいと思います!ありがとうございます! (2016年3月15日 21時) (レス) id: b27b6b9bf6 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 男からすると、案外単純そーなのに意外と掴めない女ってのは良いんだよねぇ〜(笑)無意識たまらんね〜 (2016年3月15日 8時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星奈子 | 作成日時:2016年1月9日 0時