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5時30分。携帯の電話が鳴る。
ゆっくりと携帯を取り液晶を見ると表示された名前は“村上佳菜子”
私はスライドさせて電話に応答する。
「もしもし」
『お!珍しい電話に出るのがはやい!』
早起きが苦手な私は大会前決まって佳菜子に電話で起こしてもらう。
「そりゃ寝てないからね」
『珍しい。緊張?』
緊張…。緊張というよりは羽生が原因なんだけど。でもそんなこと佳菜子に言えるわけもなくそんな感じ、っと軽く笑った
電話を切った後、支度をしているものをまとめて部屋を出る。
途中羽生に会わないかドキドキした。
ホテルを出ると出待ちをしている現地ファンに出くわす。
…が中国語は分からないので私は頭を下げてバスに乗り込む。
そしてバスに乗って気づいた。そういえば私バス羽生の隣じゃ…
そんな私の記憶は正確でやっぱり羽生の隣だった。
先に座っている羽生は窓際の席で音楽を聞いている。
羽生の目は真剣。きっと今はSPのことで頭がいっぱいなんだろう
私も羽生の隣に座り、イヤホンを耳につけてSPの曲をひたすら聞き、イメージトレーニング。
バスの中でお互い一言も話さなかった。
―
試合の緊張というのもあり時間はあっという間に過ぎる。
SPの結果。羽生はジャンプ転倒。羽生はバラード第一番で未だノーミスで滑ったことがない。キスクラでの本人の悔しそうな顔はいつも通り印象的
ああ…また転けた、っという表情だ。
私はジャンプは全て成功エッジエラーもとられなかった。しかしステップがlevel2だった
点数が出た時、満足はしなかったが順位は1位。
明日のFSで2位ともっと差をつけようと思った。
ホテルに帰るバス隣に座る羽生は少し表情が硬かった。
けれど行きのバスとは大いに態度が違った
「お疲れ様上田」
いつものように話しかけてくる羽生
「ノーミスだったじゃん」
「…でもステップが悪かったから」
「…あ、上田ここ」
そう言いながら隣の羽生は急に私の髪を触ってきた
「――っ!」
私は驚いて反射的に羽生の手を叩いてしまった
しまったと思った時にはもう遅い
驚いた顔の羽生と行き場をなくす羽生の手
また私は昨日のことを意識しすぎる
「ごめん…えっと」
「…髪に落葉ついてるよ」
そう言われ髪を触ると確かに落葉がついてた
「ありがとう」
私がお礼をいうと羽生はニコッと笑った
「ごめんもう絶対触らないから」
その言い方は少し意味深だ
・
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星奈子(プロフ) - はるすけさん» はるすけさんコメントありがとうございます!褒めていただけて嬉しいです(*^^*)これからも更新していきますのでぜひまた読みにいらしてください(^^)! (2016年4月25日 7時) (レス) id: cef4b70ce1 (このIDを非表示/違反報告)
はるすけ(プロフ) - 凄く面白くてドキドキしました。続きが気になります! (2016年4月23日 22時) (レス) id: 0afe61d9c2 (このIDを非表示/違反報告)
星奈子(プロフ) - 智枝さん» 智枝さんコメントありがとうございます!笑っ そのじれったさがなんともいえないんですよね~!笑っまたぜひ読みにいらしてください! (2016年3月15日 21時) (レス) id: b27b6b9bf6 (このIDを非表示/違反報告)
星奈子(プロフ) - 鹿さん» 鹿さんコメントありがとうございます!そう言っていただけるととても励みになります!これからも楽しんでいただけるような作品にしたいと思います!ありがとうございます! (2016年3月15日 21時) (レス) id: b27b6b9bf6 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 男からすると、案外単純そーなのに意外と掴めない女ってのは良いんだよねぇ〜(笑)無意識たまらんね〜 (2016年3月15日 8時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星奈子 | 作成日時:2016年1月9日 0時